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雇用保険の適用拡大に関して省令で対応する事項に関する方針案が示されました(2025/8/25)

8月20日、第205回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会が開催され、雇用保険の適用拡大に関して省令で対応する事項に関する方針案が示されました。

雇用保険の適用拡大は、改正雇用保険法(令和6年法律第26号)等により、雇用保険の被保険者の要件のうち、週所定労働時間を「20時間以上」から「10時間以上」に変更するというもので、令和10年10月1日より施行されることとなっています。

法改正により、次の事項への対応は既に行われています。

 被保険者要件のうち週所定労働時間
 特例高年齢被保険者(いわゆるマルチジョブホルダー制度)の被保険者要件のうち、一の適用事業における週所定労働時間
 特例高年齢被保険者(いわゆるマルチジョブホルダー制度)の被保険者要件のうち、二の適用事業における週所定労働時間の合計
 短期雇用特例被保険者の除外要件のうち、週所定労働時間
 1カ月と計算する被保険者期間について、賃金の支払いの基礎となった日数
 1カ月と計算する被保険者期間について、賃金の支払の基礎となった時間数
 法定の賃金日額の下限額
 基本手当の減額(内職減額)
 求職者支援法における特定求職者から除外される者

省令で対応する事項に関する方針案として、次のものが示されました。

雇用関係助成金の支給要件
 【現行】安定的な雇用等を意味するものとして、雇用保険の「被保険者」を引用し、または「週所定労働時間20時間以上」と規定
 → 【対応方針案】それぞれの雇用関係助成金の趣旨・目的を踏まえて対応を検討し、令和10年10月1日の適用拡大に間に合うよう、必要な措置を行う

最低賃金日額
 【現行】最低賃金額(全国加重平均)に、「20を乗じて得た額を7で除して得た額」とする旨規定
 → 【対応方針案】「10を乗じて得た額を7で除して得た額」に改正

基本手当の減額に関する手続き
 【現行】基本手当の減額に関する手続き(自己の労働による収入の届出)を規定
 → 【対応方針案】規定を削除

求職者支援法における「特定求職者」の定義
 【現行】雇用保険被保険者および受給資格者が含まれないこととなっており、求職者支援法施行規則も、それに基づいた規定となっている
 → 【対応方針案】(1)求職者支援法施行規則において、当分の間、求職者支援法と同様に、特定求職者の定義を読み替えるための必要な措置を行う
          (2)職業訓練受講給付金の支給について、雇用保険被保険者および受給資格者が支給対象になり得ることから、必要な調整をするよう、令和10年10月1日の適用拡大に間に合うよう、必要な措置を行う

また、次の案も示されています。

特例高年齢被保険者の被保険者要件のうち、二の適用事業における週所定労働時間の合計は20時間以上から10時間以上となったが、この場合における一の適用事業における週所定労働時間の下限は5時間以上のままとすることとしてはどうか

短期雇用被保険者の除外要件のうち、週所定労働時間の下限は20時間以上から10時間以上となったが、上限(厚生労働大臣が定める時間数未満)は30時間のままとすることとしてはどうか

雇用保険法施行規則等の様式のうち、「20時間」などの用語を含むものについて、必要な改正を行う

求職者支援制度においては、訓練修了者等のうち雇用保険の被保険者(週所定労働時間20時間以上)となった者を「就職者」としているため、求職者支援制度の趣旨・目的を踏まえ、「就職者」の定義の在り方について検討し、必要な措置を行う

さらに、雇用保険の適用拡大によりハローワーク業務が増大することへの対応として、「雇用保険ポータルサイト(仮称)・雇用保険コールセンター(仮称)」を設置するとして、次のような内容が示されています。

「雇用保険ポータルサイト」(仮称)
 → 厚労省HPに新設し、利用者目線の情報(制度概要および手続き方法)および電子申請へのリンク(e-Gov、マイナポータル)を一元的に集約する(令和9年1月リリース)

「雇用保険コールセンター」(仮称)
 → 電子申請の方法から雇用保険の手続き案内まで一気通貫で対応