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労働基準関係法制をめぐる「各側委員からの主な意見の整理(案)」が示されました(2025/8/22)

8月19日、第201回労働政策審議会労働条件分科会が開催され、労働基準関係法制をめぐる「各側委員からの主な意見の整理(案)」が示されました。

本分科会委員は公益代表委員、労働者代表委員、使用者代表委員の3者で構成されており、案では現在審議中の下記22項目について各側委員の意見が示されています(公益代表委員の意見が示されているのは5項目)。

 労働基準法における「労働者」
 家事使用人
 労働基準法における「事業」
 労使コミュニケーションの在り方
 時間外・休日労働の上限規制
 労働時間等の情報開示
 法定労働時間週44時間特例措置
 テレワーク等の柔軟な働き方
 管理監督者
10 休憩
11 休日(連続勤務規制)
12 休日(休日の特定)
13 勤務間インターバル
14 つながらない権利
15 年次有給休暇(時季指定義務)
16 年次有給休暇(賃金の算定方法)
17 年次有給休暇(時間単位年休)
18 割増賃金規制
19 副業・兼業
20 裁量労働制
21 賃金請求権等の消滅時効
22 その他

上記のうち、労働者代表委員、使用者代表委員の意見が概ね一致しているのは上記1216の3つで、次のような意見が示されています。

家事使用人
(労働者側)
・ 実質的な働き方の変化や国際的な動向を踏まえると、家事使用人に対する適用除外規定は廃止すべき時期に来ている。
・ 単に労働基準法を適用するだけでなく、国からの支援を含め、違法状態を解消するための方策を検討することが必要。

(使用者側)
・ 労働基準法を適用する方向性に賛同だが、適用除外規定を単に削除するのではなく、安衛法の措置や労災保険料の申告・納付、行政の監督や指導の在り方、紹介事業者が果たすべき役割等を含め、実効性のある保護を可能とするための対応について議論が必要。

休日(休日の特定)
(労働者側)
・ 法定休日の特定は、1週間単位でのリズムを整えるという労働者の健康確保の観点や、労働者が休日の予定を前もって決めることができるというワーク・ライフ・バランスの観点で重要。あらかじめ法定休日を特定すべきことを法律上規定すべき。
・ 法定休日を特定する手続きについても、労働者の休日に関する予見可能性をしっかり高めるという視点で、直前の変更などの恣意的な運用がなされないようなルール設定についてあわせて検討すべき。

(使用者側)
・ 法定休日の特定に関するルールを明確化することで、労務管理がしやすくなり、法律の履行遵守にもつながるなど労使双方にメリットがあるため、法定休日の特定について法定することに賛同する。
・ 法定休日をいつまでに特定すべきかについては、業種・業態により異なっている労務管理の実態を踏まえて検討すべき。

年次有給休暇(賃金の算定方法)
(労働者側)
・ 賃金額を低く見積もるために平均賃金や標準報酬月額を用いた算定方法が使われるという、使用者の恣意的な運用を確実に防止するためには、所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金を原則とするということを法令等で明確化すべき。

(使用者側)
・ 算定方法の違いにより労働者の有利、不利が生じることは望ましくないという点から、年次有給休暇取得時の賃金算定方法を統一することに異論はない。

本分科会では、「労働基準関係法制研究会報告書」(令和7年1月8日公表)に盛り込まれた内容等に関する議論を進めており、年内を目途に議論の取りまとめを目指すこととなっていて、今般の案は、中間的に意見を整理するために示されたものです。