お知らせ

「労働基準関係法制研究会報告書(案)」が示されました(前半)(2024/12/12)

12月10日、第15回労働基準関係法制研究会が開催され、報告書案が示されました。

次のような構成となっています。

 はじめに
 労働基準関係法制に共通する総論的課題
 労働時間法制の具体的課題
 おわりに

同研究会は、「新しい時代の働き方に関する研究会」報告書(2023年10月20日)で2つの柱とされた「守る」と「支える」を、どのようにして両立していくべきかという視点や、社会や経済の構造変化にどのように対応するべきかという視点に立って、労働基準関係法制に共通する総論的課題も踏まえた上で、労働時間制度の具体的課題について検討を行ってきました。

ここでは、12月12日分で上記に関する主な内容を、13日分で上記に関する主な内容を紹介します。

【労働基準関係法制に共通する総論的課題】
働基準法における「労働者」について
 → 労働者性判断の予見可能性を高めていくことが求められている
 → 労働者性の判断基準に関しては、引き続き専門的な研究が必要

家事使用人について 
 → 労働基準法やそれ以外の労働基準関係法制をどのように適用するかについて、履行確保の在り方も含めた具体的な制度設計の検討に早期に取り組むべき

労働基準法における「事業」について
 → 将来的な労使コミュニケーションの在り方も含め検討していく必要がある。早期に検討に着手していくことが必要

労使コミュニケーションの在り方について
 → まずは、労働組合の活性化が望まれるとともに、現行の過半数代表制の抱える課題の解消に早急に取り組むべき
 → 労働組合が実質的で効果的な労使コミュニケーションを実現する中核となる一方、過半数労働組合がない事業場が多いことも事実で、活性化していくことが望ましく、例えば、労働組合が過半数代表として活動する場合の活動時間の確保や、使用者からの必要な情報の提供、意見集約のための労働者へのアクセス保障などの支援を行うことができるのではないかと考えられる
 → 過半数代表は、事業場の全労働者の代表として意見集約していくべきということも明確化すべき

「過半数代表者」の適正選出と基盤強化について
 → 過半数代表者の適正選出を確保し、基盤を強化するためには、
・ 労働基準法における「過半数代表」、その下位概念である「過半数労働組合」、「過半数代表者」の定義
・ 過半数代表者の選出手続
・ 過半数代表、過半数労働組合、過半数代表者の担う役割および使用者による情報提供や便宜供与、権利保護(不利益取扱いを受けないこと等)
・ 過半数代表として活動するにあたっての過半数代表者への相談支援
・ 過半数代表者の人数や任期の在り方
等について、明確にしていくことが必要
 → 過半数代表者が役割をまっとうするために必要となる、事業場の働き方の実態に関する情報の提供を使用者の責務として位置付けることが必要
 → 過半数代表者としての活動には相応の時間を要することから、労働時間の中で活動することへの一定の保障を検討すること、また、意見集約のための設備の使用等についての便宜供与が必要となることが考えられ、使用者がどのような便宜供与を行うことが望ましいか、どのようなものが許容されるのかを明確にすることが求められる

労働基準法における規定の整備
 → 労働基準法において、「過半数代表」、「過半数労働組合」、「過半数代表者」の法律上の位置付け、役割、過半数代表者に対する使用者からの関与や支援等を明確に定める規定を設ける法改正を行うことが必要
 → 加えて、過半数労働組合に対する使用者からの関与や支援について、どのようなことができるのか、労働組合法に規定する支配介入等の規定との関係について、いずれかの法で明らかにしておくことも検討すべき

労使協定・労使委員会等の複数事業場での一括手続について
 → 事業場単位の労使合意を前提としつつ、手続きをある程度まとめて行うことは現行法上許容されており、その点を明らかにすることが考えられる
 → 一方で、複数事業場をまとめて手続きを行うことについての提案を使用者が行うことは許容されるとしても、事業場の過半数代表がこれを拒否する場合には、過半数代表が正しく認識できるよう、個別事業場単位で労使協議を行うことができる旨の明確化と周知徹底が必要

労働者個人の意思確認について
 → 集団的合意を経た上で重ねて本人同意を求める制度は、現在も裁量労働制や高度プロフェッショナル制度に見られるもので、働き方の多様化に対応して個別の制度を検討する場合に、事項によっては、各制度における個人の意思確認の必要性の度合いや、現場の働き方の実態を踏まえて、集団的合意に重ねて本人同意を求める制度をそれぞれに検討することが適当