「中小M&Aガイドライン」が改訂されました(2024/9/4)
8月30日、中小企業庁は中小M&A市場における健全な環境整備と支援機関における支援の質の向上を図るため、「中小M&Aガイドライン」を改訂しました。
不適切な譲受け側の存在や経営者保証に関するトラブル、M&A専門業者が実施する過剰な営業・広告等の課題があったことから、次のような事項の追記や明記が行われています。
1 仲介者・FA(フィナンシャル・アドバイザー)の手数料・提供業務に関する事項
→ 仲介者・FAに手数料の詳細説明、プロセスごとの提供業務の具体的説明、担当者の保有資格や経験年数・成約実績の説明等を求める
2 広告・営業の禁止事項の明記
→ 仲介者・FAに広告・営業先が希望しない場合の広告・営業の停止等を求める
3 利益相反に係る禁止事項の具体化
→ 仲介者に追加手数料を支払う者やリピーターへの優遇(当事者のニーズに反したマッチングの優先実施、譲渡額の誘導等)を禁止し、情報の扱いに係る禁止事項を明確化
→ これらの禁止事項について、仲介契約書に仲介者の義務として定める旨を明記
4 ネームクリア・テール条項に関する規律
→ 仲介者・FAに譲渡し側の名称について、譲受け側への開示(ネームクリア)前の譲渡し側の同意の取得を求める
→ テール条項の対象の限定範囲・専任条項がない場合の扱いについて明確化
5 最終契約後の当事者間のリスク事項について
→ 中小企業向けに、最終契約・クロージング後に当事者間でのトラブルとなり得るリスク事項を解説
→ 仲介者・FAに、当事者間でのリスク事項について、依頼者に対する具体的説明を求める
6 譲渡し側の経営者保証の扱いについて
→ 中小企業向けに、M&Aを通じた経営者保証の解除または譲受け側への移行を確実に実施するための対応として、士業等専門家・事業承継・引継ぎ支援センターや経営者保証の提供先の金融機関等へのM&A成立前の相談や最終契約における位置付けの検討等の対応について明記
→ 仲介者・FAに、士業等専門家・事業承継・引継ぎ支援センターや経営者保証の提供先の金融機関等への相談が選択肢となる旨の説明、最終契約における経営者保証の扱いの調整を行うことを求める
7 不適切な事業者の排除について
→ 仲介者・FA、M&Aプラットフォーマーに、譲受け側に対する調査の実施、調査の概要・結果の依頼者への報告を求める
→ また、不適切な行為に係る情報を取得した際の慎重な対応の検討を求める
→ 業界内での情報共有の仕組みの構築の必要性を明記するとともに、当該仕組みへの参加の有無について、依頼者に対して説明することを求める
≪ 建設業の人材確保・育成に向けた取組みに関する令和7年度予算概算要求 | 令和6年度厚生労働省所管予算概算要求に関する資料が公表されました(2) ≫