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在職老齢年金制度の見直し等高齢社会対策を盛り込んだ報告書素案が示されました(2024/7/19)

7月17日、第7回高齢社会対策大綱の策定のための検討会が開催され、在職老齢年金制度の見直し等高齢社会対策を盛り込んだ報告書素案が示されました。

次のような構成となっています。

第1部 基本的な考え方
第2部 生涯を通じて活躍できる環境の整備
第3部 地域において安心・安全に暮らせる社会の実現
第4部 推進体制の整備

ここでは、第2部で示された高齢期の就労に関する主な内容を紹介します。

【第2部 生涯を通じて活躍できる環境の整備】
1.就労や地域での社会活動等の多様な活躍の推進
(1)現状と課題
65歳以上の就業者数の増加と企業の取組状況
 → 2021年には70歳までの就業確保措置が努力義務化されたが、実施している企業は全体の3割程度にとどまっている
 → これから高齢期を迎える社員や若い世代への対応も含め、中長期的な視点で人事や給与等の制度の工夫に取り組み、高齢期においても経験や知見を活かして活躍できるよう雇用の質を高めていくことが課題
 → 70歳までの就業確保措置のうち、業務委託契約や社会貢献事業など雇用によらない措置である創業支援等措置について見ると、導入企業は113社で全体の 0.1%にとどまっている。高齢期に十分な経験やスキルを活かして新しいチャレンジを行うことを後押しする観点から、起業・創業等への支援を強化する必要がある

高齢期を見据えたキャリアアップやリスキリングの拡充
 → 早い段階から高齢期を見据えたスキルアップを行うことが重要。また、
長く働き続けられる仕事へリスキリングすることや、若年期から副業等で多様な経験を積むことも重要

(2)今後の取組みの方向性
希望に応じて働き続けられる環境整備
 → 高齢の社員を含め、年齢ではなく経験やスキルに基づいて職員を配置するとともに、仕事内容や働きぶりに合わせた賃金体系等、アウトプットに基づく評価や処遇の仕組みを整えることが必要となる。企業におけるこれらの取組みを後押しするため、企業への専門家の派遣や助言の取組みを強化することが必要
 → 業務委託契約や事業主が行う社会貢献事業への従事により就業機会を確
保する創業支援等措置について、取組みが進まない要因など実態の把握を行うとともに、制度の周知やノウハウの共有を行うべき
 → 高齢期の特性を踏まえ、柔軟な働き方や健康や安全への配慮、デジタルを
活用した負担軽減などの取組みを進めることが必要
 → 高齢期の起業・創業について、資金面での支援に加えて、高齢期に起業経
験のある者など専門家による相談体制の充実や、地域の空き家を活用したビジネスなどまちづくりに資する事例の共有などを進めるべき

高齢期を見据えたキャリアアップやリスキリングの拡充
 → 企業が行う研修だけではなく、自発的・能動的に学ぶ機会を増やしていくことが重要であり、将来の自らのキャリアを考えながら主体的に学習内容を選択できる機会の充実を図るべき
 → 教育訓練プロバイダーや業界団体等の活用を促進するための取組みを進めるべき
 → 企業において、長期休暇制度の整備をはじめ社員が教育訓練を利用しやすくするような取組みが必要

働き方の多様化に応じた年金制度への見直し
 → 在職老齢年金制度の見直しや被用者保険の適用拡大等を進めることが必要

介護離職の解消
 → 介護保険外サービスの振興・拡大を進めるとともに、福利厚生の充実等、企業が主体となって社員が介護サービスを利用しやすい環境を整えることも有効であり、企業の取組みを促進するための環境整備が必要
 → 介護休業期間は仕事を続けながら介護をするための体制を構築する期間であるという正しい理解を企業と連携しながら周知すべき
 → 介護休業の円滑な取得・復帰、柔軟な働き方ができるよう取り組む中小企業に対する支援が必要。その際、休業中の周囲のサポートする人材への負担が増えないようにすることや復職する際にどうするかなど介護で抜ける人がいても職場全体でうまく業務が回るよう取り組んでいくべき