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カスタマーハラスメント対策強化などを盛り込んだ雇用の分野における女性活躍推進に関する検討会報告書(素案)が示されました(2024/7/22)

7月17日、第10回雇用の分野における女性活躍推進に関する検討会が開催され、報告書素案が示されました。

ここでは、今後の対応の方向性として示された取組みのうち、主なものを紹介します。

【第1 現行の女性活躍推進法を巡る現状と対応の方向性 】
女性活躍推進法の延長
 → 10年間延長することが適当

中小企業における取組み促進 
 → 努力義務を課した上で、100人以下の企業の取組みのきっかけとなるような支援策、例えば企業に対するコンサルティング等の取組みを充実させることが必要

女性活躍推進法に基づくえるぼし認定
 → 現行のえるぼし認定では評価できない企業の積極的な取組み・実績を評価できるような仕組みも視野に、必要な見直しを検討するべき
 → 月経、不妊治療、更年期等の健康課題に企業が取り組むことが企業のインセンティブとなるように見直しをすることも効果的と考えられる

女性の活躍に関する情報公表
 → 常時雇用する労働者の数が101人以上300人以下の企業においても、公表を義務とすることが適当
 → 男女間賃金差異の公表義務の対象を拡大するに当たっては、中小企業における要因分析の負担を軽減するために、簡易な賃金格差要因分析ツールの開発等を通じて、中小企業に対する支援を行うことが重要
 → 現在開示項目の選択肢の一つとなっている女性管理職比率について、企業の実情を踏まえつつ、開示必須項目とすることが適当
 → 加えて、企業が公表する際に、この男女別管理職登用比率を説明欄に記載し、管理職登用の実態に関する補足的な説明を付記することを促すことも検討すべき
 → 各企業において指標を公表するにあたって、厚生労働省が示している「管理職」の定義に沿うものであるかを自己申告する欄を設け、説明欄で管理職に計上している役職呼称名を明記するといった取組みを検討すべき

【第2 女性活躍と月経、不妊治療、更年期等の課題】
ヘルスリテラシー向上
 → 月経、不妊治療、更年期等の性差による課題に関して、ヘルスリテラシーが不足していることが指摘されていることから、国において重要なコンテンツを作成、周知することが望ましい

月経、不妊治療、更年期等の健康課題への対応
 → 特別休暇の普及や取組企業へのインセンティブ付与等を通じて働きやすい環境をつくることが考えられる
 → 女性特有の健康課題の要素を女性活躍推進法の事業主行動計画に盛り込むことを検討すべきであり、また、事業主行動計画策定指針に、健康支援やヘルスリテラシー向上の意義や、プライバシーへの配慮の必要性等を明記すること等が考えられる
 → ヘルスリテラシーの向上や休暇制度の創設に取り組む企業が評価され、「職場における女性特有の健康支援」を進めるインセンティブとなるように、えるぼし認定制度の見直しをすることが適当

【第3 ハラスメントの現状と対応の方向性】
総論
 → セクシュアルハラスメント、妊娠・出産等に関するハラスメント、育児休業等に関するハラスメント、パワーハラスメント以外にも月経、不妊治療等に関連したハラスメントも存在するという指摘等もあることを踏まえ、職場のハラスメントは許されるものではないという趣旨を法律で明確にすることが考えられる

カスタマーハラスメント
 → 上司や同僚からのハラスメントと、顧客や取引先からのハラスメントでは、その性格や対応も異なるが、労働者の就業環境を害するものであり、企業の負う安全配慮義務等の観点からも、何らかの対策、配慮が必要という点では共通することから、労働者保護の観点から事業主の雇用管理上の措置義務とすることが適切
 → 事業主の雇用管理上の措置義務においては、行為者として、取引先等の他の事業主やその雇用する労働者、顧客、患者やその家族、学校の生徒等も想定されている、セクシュアルハラスメントに係る事業主の措置義務の内容が、参考となる部分があると考えられる
 → 対策企業マニュアルを参考としつつ、カスタマーハラスメントの定義は、以下のⅠ~Ⅲまでの要素のいずれも満たすものとして検討すべき
 Ⅰ 顧客、取引先、施設利用者その他の利害関係者が行うこと 
 Ⅱ 社会通念上相当な範囲を超えた言動であること 
 Ⅲ 労働者の就業環境が害されること

就活等セクシュアルハラスメント
 → インターンシップや就職活動中の学生等の、雇用する労働者ではない者への配慮の措置は、自ずと雇用する労働者に対するものとは異なるものとなると考えられ、事業主の方針等の明確化に際して求職者との面談のルールをあらかじめ定めておくことや、相談に応じられる体制を整備して周知することなどが考えられる。このほか、発生した場合における、被害者である求職者への配慮としては、事案の内容や状況に応じて、行為者の謝罪や、相談対応等が考えられる
 → 特にセクシュアルハラスメントは、性差別的意識を伴うものであることに加え、一旦発生すると取り返しのつかない重大な損失を被る事件も見られること等から、就職活動中の学生等の求職者に対するセクシュアルハラスメントを対象とすることが妥当であると考えられる
 → パワーハラスメントに関しては、パワハラ防止指針において、就職活動中の学生等の求職者に対しても、パワーハラスメントを行ってはならない旨の方針を明確化することが望ましいとされていることを踏まえ、その周知、啓発を強化することが必要

自爆営業
 → 「自爆営業」そのものが直ちにパワーハラスメントに該当するというものではなく、職場におけるパワーハラスメントの3要件を満たす場合パワーハラスメントに該当するものであり、該当する場合、都道府県労働局で助言・指導等を行っているところ、社会的に関心を集めていることに鑑み、このような趣旨を、パワハラ防止指針に明記することが考えられる