改正建設業法が成立しました(2024/6/10)
6月7日、参院本会議で賛成多数により改正建設業法が可決、成立しました。
本法には、建設業の担い手を確保するため、労働者の処遇改善に向けた賃金原資の確保と下請事業者までの行き渡り、資材価格転嫁の円滑化による労務費へのしわ寄せ防止、さらには、働き方改革や現場の生産性向上を図るための措置が盛り込まれています。
法案概要によれば、次のような内容となっています。
1 労働者の処遇改善
・労働者の処遇確保を建設業者に努力義務化
・中央建設業審議会が「労務費の基準」を作成し、受注者および注文者の双方に対して著しく低い労務費等による見積り書の作成や変更依頼を禁止(違反発注者には国土交通大臣等が勧告)
・原価割れ契約の禁止を受注者にも導入
2 資材高騰に伴う労務費へのしわ寄せ防止
・資材高騰など請負額に影響を及ぼす事象(リスク)の情報を、請負契約の締結までに受注者から注文者に提供するよう義務化
・資材が高騰した際の請負代金等の「変更方法」を契約書記載事項として明確化
・契約後、資材高騰が顕在化した場合に、受注者が「変更方法」に従って契約変更協議を申し出たときは、注文者に誠実に協議に応じる努力義務(注)
(注)公共工事発注者は、誠実に協議に応ずる義務
3 働き方改革と生産性向上
・長時間労働を抑制するため、著しく短い工期による契約締結を受注者にも禁止
・ICT活用等を要件に、現場技術者に係る専任規制や、公共工事における施工体制台帳提出義務を合理化
・ICT活用による現場管理の「指針」を国が作成し、特定建設業者や公共工事受注者に対し、効率的な現場管理を努力義務化
施行期日は、改正項目によって公布の日から3月以内、6月以内、1年6月以内と分かれています。
例えば、上記1の「労務費の基準」の作成は公布の日から3月以内に施行されますが、著しく低い労務費等による見積り書の作成や変更依頼の禁止については、1年6月以内の施行とされています。
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