お知らせ

規制改革推進に関する答申(案)が示されました(2024/6/5)

5月31日、第19回規制改革推進会議が開催され、規制改革推進に関する答申(案)が示されました。

次の3分野における規制改革を求める内容となっています。

 革新的サービスの社会実装・国内投資の拡大
 スタートアップのさらなる成長
 良質な雇用の確保、高生産性産業への労働移動 

上記の「(4)公共」「ク 賃金の「デジタル払い」の実現」では、指定実績がいまだゼロである現状を踏まえた措置を講ずるべきとする内容が、「ケ 社会保険・雇用保険手続のデジタル完結」では、社会保険に係る手続きについて、オンラインフォーム上でのデータのやり取りを可能とする方向での検討や、求職者支援制度における職業訓練受講給付金について、対面で行っている通帳確認などの在り方について検討を行い、結論を得るべきとする内容が、まとめられています。

また、「 良質な雇用の確保、高生産性産業への労働移動 」には、次の項目について実施すべき事項がまとめられています。ここでは、主な事項を紹介します。

(1)良質な就労の確保 
ア フリーランス・ギグワーカーの労働者性および保護の在り方
 → 労働者性の判断基準について、人間による直接の指示ではなく、AIやアルゴリズムによる連絡であっても、業務遂行上の指揮監督関係を肯定する方向に働くことを明確にするなど、デジタル技術の活用等を踏まえた判断基準の明確化を検討し、その結果を踏まえ、就業者・事業者双方にとってわかりやすく解説するなどの周知

 → 業務委託の発注者が取引相手(就業者)に対して行うヘルメット等の安全器具の着用を求めることや、事故等の発生時に安全確保のために退避指示を行うこと、長時間就業する者に就業時間の短縮を推奨することなどは、判断基準における「指揮命令」や「拘束」として評価されるものではないと整理するなど、判断基準における「指揮命令」や「拘束」として労働者性を肯定する方向に働くものとそうでないものを整理し、発注者および就業者に周知

イ 労使双方が納得する雇用終了の在り方
 → 解雇無効時の金銭救済制度について、一般労働者に対する実態調査において、労働者自身の声を幅広く把握し、当該制度ができることで救われる人が存在するか否かについて定量的に示す。また、当該調査の結果を得て速やかに同分科会において議論を再開する

 → 調査の終了予定時期を明示し、着実に実施する

ウ 「自爆営業」の根絶
 → 関係法令上の論点を整理した上で、違法となり得る自爆営業の類型や、パワーハラスメントに該当し得る自爆営業に関連する使用者等の言動の例を明確に示す。また、上記の内容や具体的な相談先をわかりやすく示したパンフレットを作成する等、企業および労働者の双方に周知を行う

 → 職場における自爆営業に関連する使用者等の言動がパワーハラスメントの3要素を満たす場合は、パワーハラスメントに該当する可能性があることに鑑み、指針の改正について労働政策審議会において検討を開始する

(2)高生産性産業への労働移動 
ア 副業・兼業の円滑化
 → 割増賃金の支払いに係る労働時間の通算管理の在り方について、労働基準法等の関係法令における行政解釈の変更も含めて検討し、結論を得る

 → 「副業・兼業の促進に関するガイドライン」およびモデル就業規則の内容について、営業秘密の保護の要請および裁判例も踏まえつつ、競業避止義務として適切でないと判断され得る場合を示し、労使への周知を行う

 → 各企業において副業・兼業の申請が行われた際、使用者と労働者が、各企業において保護の必要がある正当な利益やそれを踏まえた競業行為の範囲等について、十分に協議して、双方が納得感を持った上で、個別の申請に対する許否の判断が行われることや、具体的な判断の蓄積をさらなる副業・兼業の円滑化のためにいかすことが重要である旨をガイドライン等に明記