業務上疾病にかかった労働者の離職時の平均賃金の算定に関する通達が改正されています(2024/1/10)
1月9日、厚生労働省のデータベースに「「業務上疾病にかかった労働者の離職時の標準報酬月額等が明らかである場合の平均賃金の算定について」の一部改正について」(令和5年12月22日付基監発1222第1号)、「「平均賃金の算定に係る労働者の賃金額の十分な調査の実施について」の一部改正について」(令和5年12月22日付基監発1222第2号)が登載されています。
このうち、令和5年12月22日付基監発1222第1号は、賃金台帳等使用者による支払賃金額の記録が確認できない事案において、当該労働者の厚生年金保険の標準報酬月額が明らかであったため、平成22年4月12日付基監発0412第1号「業務上疾病にかかった労働者の離職時の標準報酬月額等が明らかである場合の平均賃金の算定について」を用いて平均賃金を算定したところ、行政不服審査会から当該労働者の健康保険の標準報酬月額もまた明らかであり、これが離職時の賃金額に近似していると考えられる場合には、健康保険の標準報酬月額を用いて平均賃金の算定を行うべきであるから、当該処分は取り消すべきとされたことを受け、改正されたものです。
主な改正内容は、次の下線部分です。
1 標準報酬月額について
平均賃金の算定の対象となる労働者等(以下「算定対象労働者等」という。)が、賃金額を証明する資料として、任意に、厚生年金保険又は健康保険の標準報酬月額が明らかになる資料を提出しており、当該資料から、労働者が業務上疾病の発生のおそれのある作業に従事した最後の事業場を離職した日(賃金の締切日がある場合は直前の賃金締切日をいう。)以前3か月間(以下「離職した日以前3か月間」という。)の標準報酬月額が明らかである場合は、当該標準報酬月額を基礎として、平均賃金を算定して差し支えないこと。
なお、関係資料から労働者の標準報酬月額等が明らかな場合であっても、当該資料から、労働者の支払賃金額もまた明らかとなる場合には、支払賃金額を基礎として平均賃金を算定すべきであることに留意すること。
また、令和5年12月22日付基監発1222第2号は、平成22年4月12日付基監発0412第1号の標準報酬月額や賃金日額等に関する同通達の取扱いは、業務上疾病の場合に限らず、平均賃金の算定にあたって広く当てはまるものとして、賃金台帳等使用者による支払賃金額の記録がない場合における平均賃金の算定について定めた平成25年2月22日付基監発0222第2号「平均賃金の算定に係る労働者の賃金額の十分な調査の実施について」が、改正されたものです。
主な改正内容は、次の下線部分です。
3 平均賃金の算定の対象となる労働者等(以下「算定対象労働者等」という。)が、厚生年金保険又は健康保険の標準報酬月額や雇用保険の賃金日額等労働者の賃金を基に公的機関等が算定した金額を示す資料を、賃金額を証明する資料として、任意に、提出している場合には、それらの資料に記載された金額を基礎として平均賃金を算定して差し支えないこと。
また、算定対象労働者等に対し、本取扱いを教示し、算定対象労働者等がそれらの資料の提出を希望する場合には、資料の入手方法を教示すること。
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