お知らせ

令和6年度税制改正大綱が公表されました(2023/12/15)

12月14日、自民、公明両党令和6年度税制改正大綱を公表しました。

ここでは、企業が行う源泉徴収事務に関連して押さえておくべき「1.構造的な賃上げの実現」の「(1)所得税・個人住民税の定額減税」、および「3.経済社会の構造変化を踏まえた税制の見直し」のうち「(1)子育て支援に関する政策税制」として示された次の3つの内容を紹介します。

1 子育て世帯等に対する住宅ローン控除の拡充
2 子育て世帯等に対する住宅リフォーム税制の拡充
3 子育て世帯に対する生命保険料控除の拡充

【所得税・個人住民税の定額減税】
基本的考え方
納税者(合計所得金額1,805万円超(給与収入のみの場合、給与収入2,000万円超に相当)の高額所得者については対象外)および配偶者を含めた扶養家族1人につき、令和6年分の所得税3万円、令和6年度分の個人住民税1万円の減税を行うこととし、令和6年6月以降の源泉徴収・特別徴収等、実務上できる限り速やかに実施することとする。

実施方法
1 給与所得者に係る所得税額の特別控除
イ 令和6年6月1日以後最初に支払を受ける給与等(賞与を含むものとし、給与所得者の扶養控除等申告書の提出の際に経由した給与等の支払者が支払うものに限る)につき源泉徴収をされるべき所得税の額(以下、「控除前源泉徴収税額」という)から特別控除の額に相当する金額(当該金額が控除前源泉徴収税額を超える場合には、当該控除前源泉徴収税額に相当する金額)を控除する。

ロ 特別控除の額に相当する金額のうち、上記イおよびここに定めるところにより控除をしてもなお控除しきれない部分の金額は、以後令和6年中に支払われる当該給与等(同年において最後に支払われるものを除く)に係る控除前源泉徴収税額から、順次控除する。
 (注1)上記イおよびロにより控除する同一生計配偶者等に係る特別控除の額は、原則として源泉控除対象配偶者で合計所得金額が48万円以下である者または扶養親族で居住者に該当する者について算出する。
 (注2)源泉徴収の際の上記イおよびロによる控除は、現行の源泉徴収をされるべき額から行う。
 (注3)上記イおよびロについて、給与所得者の扶養控除等申告書に記載した事項の異動等により特別控除の額に異動が生ずる場合には、年末調整により調整する。

ハ 上記イおよびロにより控除された後の所得税額をもって、それぞれの給与等につき源泉徴収をされるべき所得税の額とする。

ニ 令和6年分の年末調整の際に、年税額から特別控除の額を控除する。 

ホ 上記イおよびニによる控除について、給与等の支払者が同一生計配偶者等を把握するための措置を講ずる。

ヘ 上記イの給与等の支払者は、上記イまたはロによる控除をした場合には、支払明細書に控除した額を記載することとする。

ト 上記イの給与等の支払者は、源泉徴収票の摘要の欄に控除した額等を記載することとする。

2 給与所得に係る特別徴収の住民税
イ 特別徴収義務者は、令和6年6月に給与の支払をする際は特別徴収を行わず、特別控除の額を控除した後の個人住民税の額の11分の1の額を令和6年7月から令和7年5月まで、それぞれの給与の支払をする際毎月徴収する。

ロ 地方公共団体は、令和6年度分の給与所得に係る個人住民税の特別徴収税額通知(納税義務者用)に控除した額等を記載することとする。

ハ 特別徴収義務者は、令和6年分の給与支払報告書の摘要の欄に所得税額から控除した額等を記載することとする。

【子育て支援に関する政策税制】
基本的考え方
以下のからについて、扶養控除等の見直しと併せて行う子育て支援税制として、令和7年度税制改正において以下の方向性で検討し、結論を得る。
ただし、およびについては、現下の急激な住宅価格の上昇等の状況を踏まえ、令和6年限りの措置として先行的に対応する。

1 子育て世帯等に対する住宅ローン控除の拡充
新築等の認定住宅については500万円、新築等のZEH水準省エネ住宅・省エネ基準適合住宅については1,000万円の借入限度額の上乗せ措置を講ずる。
また、子育て世帯においては、住宅取得において駅近等の利便性がより重視されること等を踏まえ、新築住宅の床面積要件について合計所得金額1,000万円以下の者に限り40㎡に緩和する。
なお、所得税額から控除しきれない額については、現行制度と同じ控除限度額の範囲内で個人住民税額から控除する。

2 子育て世帯等に対する住宅リフォーム税制の拡充
既存住宅のリフォームに係る特例措置について、子育て世代の居住環境の改善の観点から、子育て世帯および若者夫婦世帯が行う一定の子育て対応改修工事を対象に加える。

3 子育て世帯に対する生命保険料控除の拡充
所得税において、生命保険料控除における新生命保険料に係る一般枠(遺族保障)について、23歳未満の扶養親族を有する場合には、現行の4万円の適用限度額に対して2万円の上乗せ措置を講ずることとする。
なお、一般生命保険料控除、介護医療保険料控除および個人年金保険料控除の合計適用限度額については、実際の適用控除額の平均が限度額を大きく下回っている実態を踏まえ、現行の12万円から変更しない。