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雇用保険制度見直しに関する報告書素案が示されました(2023/12/14)

12月13日、第189回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会が開催され、雇用保険制度見直しに関する報告書素案が示されました。

案では、次の項目の見直しの方向性が示されています。

 雇用保険制度の適用拡大
 基本手当
 就職促進給付
 教育訓練給付等
 高年齢雇用継続給付
 男女ともに働きながら育児を担うことができる環境の整備
 (1)育児休業給付の給付率引上げ
 (2)育児時短就業給付(仮称)
 財政運営

上記のうち、については「廃止も含め、引き続き検討を行うべき」として、具体的な案は示されませんでした。

また、他の項目には12月12日分で紹介した制度設計案に重複する内容も含まれるため、ここでは、制度設計案では示されていなかった内容に絞って紹介します。

【1 雇用保険制度の適用拡大】
被保険者期間の算定基準
 → 失業等給付の受給資格の判定の基礎となる被保険者期間については、現行のとおり、離職日から2年間に被保険者期間が12カ月以上(特定受給資格者または特定理由離職者の場合は、1年間に6カ月以上)とすべき
 → その上で、1カ月として被保険者期間に算入されるための基準について、「離職日から1箇月ごとに区切っていった期間に賃金の支払の基礎となった日数が6日以上又は賃金の支払の基礎となった労働時間数が40時間以上ある場合」へと見直すべき

失業認定基準および自己の労働により収入がある場合の取扱い
 → 失業認定の基準となる労働時間を、1日当たり2時間(週10時間相当)とすべき
 → 現行の減額の仕組みは、1日2時間未満の労働で得られる収入は一般的には少額であることも踏まえ、簡素化等の観点からこれを廃止すべき

賃金日額の法定の下限額、最低賃金日額
 → 賃金日額の下限額は、下方の屈折点の額の4分の1(週所定労働時間10時間が法定労働時間週40時間の4分の1であるため)とすべき
 → 最低賃金日額についても、最低賃金(全国加重平均)で週10時間労働した場合を基礎として設定するよう見直すべき

マルチジョブホルダーへの雇用保険の適用
 → 複数の雇用主との関係で被保険者要件を満たすケースが増加することが想定されることから、例えば賃金日額の高いほうの事業所を主たる事業所とするなど、判断にあたっての基本的な考え方を施行までに明確化し、周知すべき

65歳以上のマルチジョブホルダーへの適用の特例
 → 週所定労働時間の基準を見直すとともに、適用拡大の施行前にこの特例の適用を受け始めた労働者が不利とならないよう、所要の経過措置を設けるべき

求職者支援制度
 → 雇用保険制度の適用拡大に伴い、一部が同制度の対象者から外れることとなるが、第二のセーフティネットである求職者支援制度の果たすべき役割・機能を踏まえて、所要の措置を講じるべき

【2 基本手当】
自己都合離職者の給付制限期間等
 → 正当な理由がなく自己の都合により離職する者に対する基本手当の給付制限は、令和7年度から1カ月へと短縮すべき
 → 現行の5年間で3回以上の正当な理由のない自己都合離職の場合には給付制限期間を3カ月とする取扱いは維持すべき
 → 離職期間中や離職日から遡って1年の期間内に、自ら雇用の安定および就
職の促進に資する教育訓練を行った場合には、令和7年度から給付制限を解除して基本手当を受けられることとすべき
 → 基本手当の給付水準(給付率や給付日数等)は、現時点で改正を行わない

令和6年度末で期限が到来する暫定措置
 → 雇止めによる離職者について所定給付日数を特定受給資格者並みの水準とする措置等については、令和7年度から2年間延長すべき
 → 地域延長給付については、令和7年度から2年間延長すべき

その他
 → 賃金日額の上限額等の改定等に用いる平均給与額の前年度からの上昇または低下の率について、令和6年度から見直すべき

【3 就職促進給付】
就業手当
 → 令和7年度から廃止すべき

就業促進定着手当
 → 制度は継続したうえで、令和7年度から、その上限を一律基本手当支給残日数の20%相当額とすべき