お知らせ

「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」の骨子が示されました(2023/11/17)

11月15日、新しい資本主義実現本部において政労使の意見交換が開催され「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」の骨子が示されました。

この指針は、9月27日に取りまとめられた「新しい資本主義の推進についての重点事項」において、地方・中堅中小企業等を含めた持続的賃上げ、所得向上の実現のため、次の措置を講じるとされたことを踏まえ、検討が進められているものです。

○ 内閣官房及び公正取引委員会は、労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針を年内に策定する。具体的には、
・労務費について取引価格に転嫁する取組方針を、発注者側は経営トップまで上げて決定し、その取組状況を定期的に経営トップに報告すること
・定期的に労務費の転嫁について受注者側との協議の場を設けること
・受注者側が準備する根拠資料は、負担にならないよう、当該地域の最低賃金の上昇率、春闘の妥結額の平均上昇率など公表資料を可能な限り用いること
等により、取引適正化に向けた取組を強化する。

資料では、次のような内容を盛り込むとしています。

【本指針の性格】
本指針は、労務費の転嫁に関する事業者(発注者及び受注者)にとっての行動指針。
 労務費の転嫁に係る価格交渉について、発注者及び受注者それぞれが採るべき行動/求められる行動を取りまとめ。
 独占禁止法上の優越的地位の濫用又は下請代金法上の買いたたきとして問題となるおそれがある行為を明記。

【発注者として採るべき行動/求められる行動の例】
①労務費の転嫁を受け容れる取組方針を経営トップまで上げて決定すること、②経営トップが同方針を社内外に示すこと、③取組状況を定期的に経営トップに報告すること。
受注者から求められていなくても、業界の慣行に応じて1年に1回や半年に1回など定期的に労務費の転嫁について発注者から協議の場を設けること。
根拠資料の提出を受注者に求める場合は、公表資料(最低賃金の上昇率、春季労使交渉の妥結額やその上昇率など)に基づくものとし、受注者が公表資料を用いて提示して希望する価格については、合理的な根拠のあるものとして尊重すること。
サプライチェーン全体での適切な価格転嫁のため、受注者がその先の取引先との取引価格を適正化すべき立場にいることを常に意識して、そのことを受注者からの要請額の妥当性の判断に反映させること。

【受注者として採るべき行動/求められる行動の例】
労務費転嫁の交渉の仕方について、相談窓口に相談するなどして積極的に情報を収集して交渉に臨むこと。
根拠資料としては、最低賃金の上昇率、春季労使交渉の妥結額やその上昇率などの公表資料を用いること。