育児休業給付、教育訓練給付に関する見直しの方向性(案)が示されました(2023/11/15)
11月13日、第186回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会が開催され、育児休業給付、教育訓練給付に関する見直しの方向性(案)が示されました。
次のような内容となっています。
【育児休業給付の給付率の引上げ】
子(養子を含む)の出生後一定期間内に、被保険者とその配偶者がともに一定期間以上の育児休業を取得した場合(例えば、男性が一定期間以上の「産後パパ育休」を取得するとともに、女性が産休を取得し、産休後8週間以内に育児休業を取得した場合)には、28日間(産後パパ育休期間と同じ期間)を限度に、給付率を現行の67%(手取りで8割相当)から、8割程度(手取りで10割相当)へと引き上げる。
【育児時短就業給付(仮称)の創設】
被保険者が、2歳未満の子を養育するために時短勤務をしている場合に、賃金の低下を補い、時短勤務の活用を促すための給付を支給する。
【教育訓練給付】
・より効果的な給付や講座指定の在り方の検討が可能となるよう、効果検証の手法を検討し、データ収集、分析に努める。また、地域ごと・類型ごとに指定講座の偏在が見られることも踏まえ、制度の周知・広報を積極的に進める。
・現行の3類型(専門実践教育訓練給付金、特定一般教育訓練給付金、一般教育訓練給付金)のそれぞれの対象講座の内容等に応じた形で、拡充策を検討することとしてはどうか。
→ 専門実践教育訓練給付金:現行の制度を前提として、新たな追加給付を検討することとしてはどうか。その際、訓練効果として賃金上昇等の処遇改善を評価する要件とする方向で検討することとしてはどうか。
→ 特定一般教育訓練給付金:新たな追加給付を検討することとしてはどうか。その際、現行の専門実践教育訓練給付金のような、資格取得をし、雇用されていること等を要件とする追加給付を設ける方向で検討することとしてはどうか。
・教育訓練支援給付金(暫定措置)については、受講者へのアンケート結果等を踏まえ、45歳未満とされている対象者や給付内容の在り方について検討したうえで、暫定措置を延長するかどうかを検討することとしてはどうか。
【訓練期間中の生活を支えるための新たな給付や融資制度の創設】
・新たな給付や融資制度の創設
→ 求職者支援制度などの他制度の対象者や給付内容等を踏まえながら、すべての働き手が活用等できる仕組みとして、具体的な制度設計を検討することとしては
どうか。
→ 教育訓練を受けるために休暇を取得した場合に、必要な給付を行うことで教育訓練の受講を支援し、労働者の就業能力を高め、雇用の安定を図るために、以下の方向で具体的な制度設計を検討することとしてはどうか。
対象者:被保険者が教育訓練のための休暇を取得した場合に支給を行う。
給付内容:基本手当に相当する給付とする。
・新たな融資
→ 教育訓練を受けるにあたって教育訓練費用や生活費用を要する場合に、必要な融資を行うことで教育訓練の受講を支援し、労働者の就業能力を高め、雇用の安定を図るために、以下の方向で具体的な制度設計を検討することとしてはどうか。
対象者:①求職者支援制度と同様に、雇用保険被保険者や受給資格者ではない者(雇用保険の適用がない雇用者や離職者、雇用保険の受給が終了した離職者、フリーランス等から雇用されることを目指す者など)で、自らが選ぶ教育訓練を受けようとするものを対象としてはどうか。
②就業経験のある者など一定の者に限ることとしてはどうか。
融資内容:①教育訓練費用と生活費用を対象とする。
②融資の対象とする教育訓練は、①学校教育法に基づく大学、大学院、短大、高専、専修学校または各種学校が提供する教育訓練、②教育訓練給付の講座指定を受けている法人が提供する教育訓練などに限ることとしてはどうか。
③教育訓練修了後、一定の要件を満たす場合には、残債務の一定割合を免除するインセンティブを設定することとしてはどうか。一定の要件として、受けた教育訓練を賃金などに反映させるため、訓練修了後に、賃金が上昇した場合などを要件としてはどうか。
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