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「全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案」が国会に提出されています(2023/2/13)

2月10日、厚生労働省は、「全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案」を国会に提出しました。

概要によれば、次の4つが柱となっています。

 こども・子育て支援の拡充
 高齢者医療を全世代で公平に支え合うための高齢者医療制度の見直し
 医療保険制度の基盤強化等
 医療・介護の連携機能及び提供体制等の基盤強化


上記のうち、ここではの内容を紹介します。次のような項目が盛り込まれています。

【こども・子育て支援の拡充】
出産育児一時金の支給額を引き上げる(注)とともに、支給費用の一部を現役世代だけでなく後期高齢者医療制度も支援する仕組みとする(令和6年4月1日施行)
 (注)42万円→50万円に令和5年4月から引き上げ(健康保険法施行令等の一部を改正する政令(令和5年2月1日政令第23号))、出産費用の見える化を行う
産前産後期間における国民健康保険料(税)を免除し、その免除相当額を国・都道府県・市町村で負担することとする(令和6年1月1日施行)

【高齢者医療を全世代で公平に支え合うための高齢者医療制度の見直し】
後期高齢者の医療給付費を後期高齢者と現役世代で公平に支え合うため、後期高齢者負担率の設定方法について、「後期高齢者一人当たりの保険料」と「現役世代一人当たりの後期高齢者支援金」の伸び率が同じとなるよう見直す(令和6年4月1日施行)
前期高齢者の医療給付費を保険者間で調整する仕組みにおいて、被用者保険者においては報酬水準に応じて調整する仕組みの導入等を行う。健保連が行う財政が厳しい健保組合への交付金事業に対する財政支援の導入、被用者保険者の後期高齢者支援金等の負担が大きくなる場合の財政支援の拡充を行う(令和6年4月1日施行)

なお、法案について、同日の厚生労働大臣の記者会見では次のような質疑がありました。

記者:冒頭にありました、閣議決定されました健康保険法などの改正案に関してお伺いします。後期高齢者医療制度を見直し出産育児一時金への支援金に充てるなど、全世代で公平に支え合う仕組みを構築する一方で、高齢者の負担増を指摘する声もあります。今法案の狙い、意義について改めて大臣のお考えをお聞かせください。

大臣:少子化の流れが続いている、さらに高齢者人口は2040年頃をピークに増え続け、他方で生産年齢人口が減っていってしまう、特に2025年までに団塊の世代がすべて後期高齢者になるというわけであります。
 後期高齢者の保険料については後期高齢者医療制度の創設以来1.2倍にとどまっているのに対し、現役世代の負担する支援金が1.7倍となっております。これは介護保険とは仕組みが異なるということに基づくものになりますが、先ほど申し上げたような流れを踏まえれば、現役世代の負担上昇の抑制を図りつつ、負担能力に応じてすべての世代で増加する医療費を公平に支え合う仕組みを作っていくことが必要だということで、今回の医療保険制度改革では先ほど申し上げましたが出産育児一時金について大幅な増額を図るとともに、後期高齢者医療制度からの支援の仕組みを導入していく、後期高齢者医療制度の前においては高齢者の方も出産育児一時金についてはご負担いただいていたという経緯もあります。また、現役世代の負担上昇を抑制するため、後期高齢者医療における高齢者の保険料負担割合を見直すこと、そして被用者保険者間における負担能力に応じた格差是正の強化、こういった中身を盛り込んだところであります。
 今般の見直しは、高齢者の方々全員に一律に負担をお願いするわけではありません。低所得層の方については制度改正に伴う負担の増加が生じないようにする、そして賦課限度額や一定以上の所得のある方の保険料率を引き上げる、こういう形で負担能力に応じた負担とすることとしております。現役世代の負担軽減を図っていくためにも、能力に応じてご負担いただくという形で必要な内容を決めさせていただいたということであります。