全世代型社会保障構築会議報告書がまとめられました(2022/12/19)
12月16日、第12回全世代型社会保障構築会議・第5回全世代型社会保障構築本部が開催され、全世代型社会保障構築会議報告書がまとめられました。
報告書では、各分野における改革の方向性として、次の4つが示されています。
●こども・子育て支援の充実
●働き方に中立的な社会保障制度等の構築
●医療・介護制度の改革
●「地域共生社会」の実現
ここでは、こども・子育て支援の充実および働き方に中立的な社会保障制度等の構築について掲げられている、取り組むべき課題と今後の改革の工程について、紹介します。
【こども・子育て支援の充実】
●課題1:すべての妊産婦・子育て世帯支援
・妊娠時から寄り添う「伴走型相談支援」と経済的支援の充実(0~2歳児の支援拡充)
・すべての希望者が、産前・産後ケアや一時預かりなどを利用できる環境の整備
・出産育児一時金の大幅な増額
・不妊治療等に関する支援
●課題2:仕事と子育ての両立支援 (「仕事か、子育てか」の二者択一を迫られている状況の是正)
・保育の枠を確保できる入所予約システムの構築
・子育て期の長時間労働の是正、柔軟な働き方の促進
・育児休業取得の一層の促進と時短勤務を選択する際の支援
・非正規雇用労働者の処遇改善と短時間労働者へのさらなる支援
・育児休業給付の対象外である方々への支援
●今後の改革の工程
足元の課題として挙げられた下記2項目以外は、来年、早急に具体化を進めるべきとされています。
・出産育児一時金の引上げと出産費用の見える化等
・令和4年度第二次補正予算で措置された、妊娠時から出産・子育てまで一貫した伴走型相談支援と妊娠届出・出生届出を行った妊婦・子育て世帯に対する経済的支援をあわせたパッケージの恒久的な財源の確保と継続的な実施
【働き方に中立的な社会保障制度等の構築】
●課題1:勤労者皆保険の実現に向けた取組み
・短時間労働者への被用者保険の適用に関する企業規模要件の撤廃
・個人事業所の非適用業種の解消
・週労働時間20時間未満の短時間労働者への適用拡大
・「被用者性」が認められるフリーランス・ギグワーカーに対する被用者保険が適用される旨の明確化および確実な適用、「労働者性」が認められないフリーランス・ギグワーカーに関する検討
・被用者保険の適用拡大をさらに進めるためのデジタル技術の活用
・女性就労や高齢者就労の制約となっている社会保障制度や税制等を、働き方に中立的なものにしていくこと
・被用者保険適用拡大のさらなる推進に向けた環境整備・広報の充実
●課題2:労働市場や雇用のあり方の見直し
・非正規雇用労働者を取り巻く課題の解決
・労働移動の円滑化
●今後の改革の工程
・上記課題1について、次期年金制度改正(令和7年)に向けて検討・実施すべき項目として、次のものが示されています。
・短時間労働者への被用者保険の適用拡大(企業規模要件の撤廃など)
・常時5人以上を使用する個人事業所の非適用業種の解消
・週所定労働時間20時間未満の労働者、常時5人未満を使用する個人事業所への被用者保険の適用拡大
・フリーランス・ギグワーカーの社会保険の適用のあり方の整理
・上記課題2について、速やかに検討・実施すべき事項として、次のものが示されています。
・「同一労働同一賃金ガイドライン」等の効果検証・必要な見直し
・「無期転換ルール」の実効性をさらに高めるための見直し
・「多様な正社員」の拡充に向けた普及・促進策
・非正規雇用労働者の待遇改善や経験者採用(中途採用)に関する取組状況について、企業による非財務情報の開示対象とすることを含めた、企業の取組みの促進策
・その他、「労働移動円滑化に向けた指針」の策定をはじめ、「構造的な賃上げ」につながる労働移動円滑化・「人への投資」への支援の着実な実行
≪ 介護保険制度の見直しに関する意見(案)が示されました | 医療保険制度改革に向けた議論の整理(案) が示されました ≫