「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」の実施についての総合経済対策の重点事項(案)が示されました(2022/10/6)
10月4日、第10回新しい資本主義実現会議が開催され、10月中の取りまとめが予定されている「『新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画』の実施についての総合経済対策の重点事項(案)」が示されました。
次の5項目が挙げられましたが、ここでは実行計画の3つの柱のうちの1つである人への投資に関する内容が含まれるⅠを見ていきます。
Ⅰ 人への投資と分配(労働移動円滑化、リスキリング、構造的な賃金引上げ)
Ⅱ スタートアップの起業加速及びオープンイノベーションの推進
Ⅲ 科学技術・イノベーションへの投資
Ⅳ 資産所得の倍増
Ⅴ 経済社会の多極集中化
Ⅵ GXおよびDXへの投資
Ⅶ 社会的課題を解決する経済社会システムの構築
Ⅷ 経済安全保障・サプライチェーン強靭化・個別分野の取組み
Ⅰに係る施策として、次のことを行うとされています。
1 現下のコストプッシュ型の物価上昇をカバーする賃金引上げ
・令和4年10月1日からの最低賃金引上げ
→ 労働基準監督署の監督指導を通じた確実な履行の確保
・下請企業に対する不適切な対応への対策
→ 多数の下請企業に対して行っている事案または過去において繰り返し行っている事案の企業名公表
→ 独占禁止法や下請代金法に違反する事案に対する命令・警告・勧告など、これまで以上に厳正な執行
・中小企業の事業再構築補助金・生産性革命4補助金の、賃上げを条件とした補助金の抜本的拡充
・同一労働同一賃金の施行に関し、労働基準監督署においても遵守を徹底
・最低賃金のできる限り早期での1,000円以上への引上げ
・被用者保険の適用拡大など、女性の就労の制約となっている制度を中立なものにすることの検討
2 労働者に転職の機会を与える企業間・産業間の労働移動の円滑化
・一般の方のキャリアアップのための転職に関する民間の専門家への相談、転職の実現を一気通貫で支援する仕組みの整備
・リスキリングを含む「労働移動円滑化のための指針」の来年6月までの策定
・賃金制度も含む、企業の労働移動円滑化の取組状況の開示の奨励
・労働移動を受け入れる企業および副業に人材を送り出す企業または副業の人材を受け入れる企業を支援
・雇用情勢を見極めながらの雇用調整助成金の特例措置等の縮減
・副業を認めている企業の公表
・賃金制度を改革し、新たに職務給の導入を行う中小企業への助成
・非正規雇用労働者等に対する民間派遣会社を通じた簡単なトレーニングや、紹介予定派遣による就職支援
3 人への投資
・5年間で1兆円規模での人への投資策の拡充
・年末までのデジタルスキル標準の策定、見える化
・企業によるスキル向上のためのサバティカル休暇の導入促進
4 資産所得の倍増
・NISAの抜本的拡充や恒久化について検討し、本年末の来年度税制改正において結論を得る
・iDeCoの加入可能年齢引上げなど制度改革について検討し、本年末の来年度税制改正において結論を得る
・消費者に対して中立的で信頼できる助言者制度の創設
・金融教育の充実
≪ 10月からの人材開発支援助成金改正に関するリーフレットが公表されています | 社会保険関係手続の電子申請の機能改善が行われています ≫