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男女の賃金の差異の情報公表に関する案が示されました(2022/6/20)

6月17日、第49回労働政策審議会雇用環境・均等分科会が開催され、女性活躍推進法に基づく男女の賃金の差異の情報公表に関する案が示されました。

「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」( 令和4年6月7日閣議決定 )では、男女間の賃金差異の開示義務化について、次のように示されていました。

連結ベースではなく、企業単体ごとに求める。ホールディングス(持株会社)も、当該企業について開示を行う。
全労働者について、絶対額ではなく、男性の賃金に対する女性の賃金の割合で開示を求める。加えて、同様の割合を正規・非正規に分けて、開示を求める。
 → 開示を求める区分:「全労働者 / 正規雇用労働者 / 非正規雇用労働者」を必須とする
 → 比較可能性を担保する必要性が高いことから、計算方法は、全企業で共通の方法を採用する
男女の賃金の差異の開示に際し、説明を追記したい企業のために、説明欄を設ける。
 → 差異の状況について、個々の企業が追加的な説明を付した情報公表を行うことが可能
対象事業主は、常時雇用労働者301人以上の事業主。101人~300人の事業主については、その施行後の状況等を踏まえ、検討を行う。
有価証券報告書の記載事項についても、同様の開示を求める。

これを受け、分科会では事務局案として次のものが示されています。

【情報公表項目への追加】
常用労働者数301人以上:必須項目(状況把握についても必須化)
  → 3項目開示義務(男女の賃金の差異+「機会提供」に関する8項目中1項目+「両立」に関する7項目中1項目)
常用労働者数101~300人:選択項目
  → 1項目開示義務(男女の賃金の差異+「機会提供」に関する8項目+「両立」に関する7項目の16項目中1項目)
常用労働者数1~100人:努力義務

【労働者の定義】
正規雇用労働者の定義 :直接雇用し、期間の定めがないフルタイム労働者。短時間正社員は含む。
非正規雇用労働者の定義:パート・有期雇用労働法2条の短時間労働者と有期雇用労働者。派遣労働者は除く。
全労働者の定義 :正規雇用労働者と非正規雇用労働者を合わせたもの。

【賃金の定義】
労働基準法11条に基づく賃金
退職手当、通勤手当等は、企業の判断により除外する取扱いとして差し支えない
基本給、超過労働に対する報酬、賞与を含めることは必須
所得税法28条に基づく給与所得(退職手当、通勤手当等の経費に相当するものは除かれる)を用いることは、上記の取扱いに合致する

【具体的な計算方法(原則に適合しているものとして厚生労働省が認める計算例)】
賃金台帳を基に、正規雇用労働者、非正規雇用労働者、全労働者について、それぞれ男女別に直近事業年度の賃金総額を計算し、人員数で除して平均年間賃金を算出する。そのうえで、女性の平均年間賃金を男性の平均年間賃金で除して100を乗じたもの(パーセント)

今後の見通しとしては、令和4年7月に改正省令を公布・施行し、関係通達も発出するとされています。