お知らせ

今後の障害者雇用施策の充実強化に関する意見書案が示されています(2022/5/25)

5月25日、第119回労働政策審議会障害者雇用分科会の資料が公表され、今後の障害者雇用施策の充実強化に関する意見書案が示されました。

案は、次の5つの項目でまとめられています。

 雇用の質の向上に向けた事業主の責務の明確化
 障害者雇用と障害者福祉の連携の促進
 多様な障害者の就労ニーズを踏まえた働き方の推進
 障害者雇用の質の向上の推進
 その他の諸課題

ここでは、上記で示された主な内容を見ていきます。

【3 多様な障害者の就労ニーズを踏まえた働き方の推進】
週所定労働時間10時間以上20時間未満の障害者の取扱い
・特にニーズが多い精神障害者と重度身体障害者および重度知的障害者について、雇用率制度において特例を設け、週10時間以上20時間未満の精神障害者、重度身体障害者、重度知的障害者は、特例的な取扱いとしてその雇用を実雇用率において算定することが適当(A型の利用者は本取扱いを適用しないことが適当)
・算定にあたっては1人をもって0.5 カウントし、中長期にわたり週20時間以上の雇用に移行できない者も一定程度存在するため、一律に適用期限を区切ることはしないことが適当
・雇用義務の対象を週20時間以上の障害者とする取扱いは変更せず、新たに実雇用率の算定の対象として加える週20時間未満の障害者は雇用義務の対象としないことが適当
・週20時間以上の就業が困難な者等を障害者雇用納付金(以下、「納付金」といいます)、調整金の算定の対象とすることにより、当該者に対する就業機会の拡大を直接的に図ることが可能となることから、特例給付金は廃止することが適当

障害者手帳を所持していない精神障害者、発達障害者および難病患者の取扱い
・個人の状況を踏まえることなく一律に就労困難性があると認めることは難しいため、引き続きその取扱いを検討することが適当

就労継続支援A型事業所の利用者の取扱い
・雇用・福祉施策の連携強化の中で利用者や支援内容の実態等を踏まえて整理を進めるための実態把握を行っていることから、どのように整理されるかも踏まえたうえで、雇用率制度からの除外の可能性も視野に入れ、引き続き検討していくことが適当

精神障害者に対する障害者雇用率等の算定
・精神障害者である短時間労働者の実雇用率の算定に関して、令和4年度末までとされている短時間労働者を1カウントとする特例措置を当分の間継続し、今後、精神障害者の重度に係る検討について一定の整理がされた際に改めて検討することが適当
・継続するにあたっては一律に適用期間を区切ることはせず、新規雇入れまたは手帳取得から3年間という要件を外すことが適当
・ただし、週30時間以上の勤務を希望する障害者が短時間勤務のまま留め置かれることがないよう、ハローワークが事業主に対して助言または指導するなど、一定程度関わることが適当

長期継続雇用の評価
・中高年齢者等、長期継続雇用されている障害者の活躍を推進していくことは重要で、事業主の取組みについて雇用率制度における評価を求める意見がある一方、加齢による影響は個人で異なるため一律に就労困難性が高いとみなして雇用率制度で評価することは適当ではない
・中高年齢者である障害者を継続雇用する中で生じる課題について相談できる窓口として、障害者就業・生活支援センターと関係機関との連携を強化し、相談機能を強化することが適当

【4 障害者雇用の質の向上の推進】
障害者雇用調整金、報奨金による対応
・民間企業における障害者雇用が大きく進展した結果、納付金制度の財政の見通しが厳しくなっており、限られた財源を事業主への支援に充てるため、調整金・報奨金は一定の場合の減額等を行うことが適当
・調整金は、支給対象人数10人超の場合には当該超過人数分に対しては支給額を50%にすることが適当
・報奨金は支援対象人数35人超の場合には当該超過人数分に対しては支給しないことが適当

障害者雇用納付金の適用範囲の拡大
・常用労働者100人以下の事業主に対する納付金の適用範囲の拡大については、中小企業を取り巻く厳しい雇用環境等を踏まえ、未達成企業主における障害者雇用が進展したうえで実施することが適当
・常用労働者100人以下の事業主における障害者雇用が進むよう、ハローワークにおいてニーズを踏まえたチーム支援を積極的に実施することが適当
・加えて、障害者雇用ゼロ企業を中心に身近な支援者として、訪問型のジョブコーチを活用することが適当

障害者雇用を推進する事業主の取組みに対する支援
・事業主のニーズを踏まえる形で助成金を充実させることが適当
・中高年齢者の障害者の雇用継続のため事業主が実施する取組みに対する助成や、障害者雇用に関するコンサル事業者から相談支援を受けることで障害者雇用を促進する事業主に対する助成を行うことが適当
・既存の助成金についても、事業主のニーズのみならず多様な障害特性の実態等も踏まえて充実させることが適当