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労働安全衛生規則等の一部を改正する省令案(概要)に対するパブリックコメント募集が行われています(2021/12/28)

12月24日、厚生労働省は、労働安全衛生規則等の一部を改正する省令案(概要)のパブリックコメント募集を開始しました。

これは、アスベスト訴訟最高裁判決で下記のような考えが示され、安衛法2条2号の労働者に該当しない者を含めて、屋内建設作業者に対する安全衛生対策について国の責任が認められたことを踏まえ、労働者以外の者についても必要な保護の対象とするため、所要の改正を行うものです。

・ 労働者に危険を生じるおそれのある物や、健康障害を生じるおそれのある物など、物の危険性に着目した規制(安衛法57条)については、労働者以外の者も保護する趣旨
・ 化学物質を使用する場所や、粉じんが発生する場所など、場所の危険性に着目した規制(安衛法22条)については、その場所で作業する労働者以外の者も保護する趣旨

併せて、最高裁判決において、化学物質の有害性等の警告表示において表示すべき事項が十分ではなかったとされたことを踏まえ、石綿障害予防規則および類似の省令の有害性の掲示に係る規定についても、所要の改正を行います。

【安衛法22条に基づく保護措置の対象者の範囲の拡大】
安衛法22条に基づき、事業者が講ずる保護措置の対象者の範囲を、以下のとおり拡大する
(1)危険有害作業に直接従事する労働者に対する保護措置について、事業者が当該作業の一部を請負人に請け負わせる場合は、当該請負人も保護措置の対象に加える
(2)危険有害作業に直接従事していない労働者も含め、危険有害作業を行っている作業場にいるすべての労働者に対する保護措置について、当該作業場で何らかの作業に従事するすべての者(資材搬入業者等を含む)を保護措置の対象に加える

具体的な保護措置の内容
(1)労働者以外の者の保護
事業者に雇用される労働者と異なり、指揮命令関係にないことを踏まえ、事業者が講ずべき保護措置の内容や方法は、以下のとおりとする
・設備による作業環境の改善や有害物へのばく露防止のための措置については、必要に応じ、事業者に対し、作業の一部を請け負わせる請負人に対する配慮義務を設ける
・危険有害作業に従事する者の安全確保のための措置については、事業者に対し、これらの措置を自ら講じることが必要な旨を作業の一部を請け負わせる請負人に周知させる義務を設ける
・危険有害作業への従事の有無を問わない安全確保のための措置については、事業者に対し、当該作業場で何らかの作業に従事するすべての者に対する周知義務を設ける
・事業者が自らの場所の使用・管理権原等に基づいて講ずべき安全確保措置については、当該作業場で何らかの作業に従事するすべての者を当該措置の対象とする
・加圧や減圧、入退室管理等の措置のように、事業者以外の者には当該措置ができないものについては、当該作業の一部を請け負わせる請負人も、当該措置の対象に追加する
・危険有害作業で取り扱う物質の危険性等に関する表示の措置義務については、当該作業場で何らかの作業に従事するすべての者を対象に表示する措置義務に改正する
・特定の設備の危険防止等に関する表示の措置義務については、当該作業の一部を請け負わせる請負人も対象に表示する措置義務に改正する

(2)労働者以外の者による遵守義務
自らの場所の使用・管理権原等に基づいて事業者が行う立入禁止、喫煙・飲食禁止等の措置で、労働者以外の者も措置対象とするもののうち、労働者に遵守義務を設けているものについては、労働者以外の者に対しても遵守義務(罰則なし)を設ける

(3)有害性等の警告表示(掲示)関係
・石綿則について、現行規定で掲示すべき内容とされている「石綿の人体に及ぼす作用」を、「石綿により生ずるおそれのある疾病の種類及びその症状」と改正する
・石綿則について、掲示すべき内容として、「保護具を着用しなければならない旨」を新たに追加する
・省令で、石綿則と同様に有害物の有害性等を周知するための掲示の規定が既に置かれている省令については、現行規定の掲示すべき内容を、石綿則と同様に改正する
・有害物による健康障害の防止に関する省令で、有害物の有害性等の掲示に関する規定が置かれていないものについては、新たに石綿則と同様の掲示の規定を設ける

今後は、令和4年3月下旬に公布し、令和5年4月1日より施行される見通しとなっています。