お知らせ

給与のデジタル払いに関する関係各者へのヒアリングが行われました(2021/4/12)

4月5日、規制改革推進会議投資等ワーキング・グループの第12回目となる会議が開催され、給与のデジタル払いに関する関係各者へのヒアリングが行われました。

ヒアリングの対象として資料を提出したのは次の6者です。

 一般社団法人Fintech協会
 SBIミレット株式会社
 日本労働組合総連合会
 一般社団法人全国銀行協会
 金融庁
 厚生労働省

ここでは、各者が提出した資料から、給与のデジタル払いについて、想定されている利用イメージ、懸念点、銀行からの出金の現状などを見ていきます。

【新しい働き方(注1)ユースケース】(上記資料より)
受取方法
・複数企業からの受取りを一元化
・少額の副業収入も手数料の減少で早期払いが可能に
・収入管理を一元化して税務申告
利用方法
・デジタル払いを直接受けることで、出金手数料なくそのままキャッシュレス手段が利用可能に
・キャッシュレス手段で外出しなくても様々なオンラインサービス(EC、宅配、サブスクリプションサービス等)を利用できる
 (注1)兼業・副業を行う働き手が想定されています。

【フルタイム従業員ユースケース】
受取方法
・銀行口座のみならず、自分で指定するデジタル手段で受取可
・経費精算も合わせて簡易に
利用方法
・ATMでの引出しや振替不要で、決済や口座間送金が可能に
・小遣いは別口座で管理し、入出金の履歴も簡単に確認

【外国人労働者ユースケース】
口座開設
・営業時間が多様/外国人コミュニティの近くに支店がある
・母国語対応
郷里送金 
・現地口座や引出店舗にリアルタイム着金
・手数料が比較的安価
サービス利用
• 入金から送金までワンストップ
• クレジットカードに代わる決済手段を提供、オンライン決済可能
• 日払・週払サービスにも対応

【外国人労働者の推移・郷里送金の増加】(上記資料より)
・10年間で外国人労働者が2.6倍以上に増加(2010年:65万人⇒2020年:172万人)
・技能実習生は実に36倍以上に急増(同時期1.1万人⇒40万人)
・2025年には外国人労働者が220万人以上の規模に増加することが見込まれる
・日本からの郷里送金金額は、2014年第1四半期の1,105億円から2020年第1四半期には1,995円に増加

【懸念点】(上記資料より)
・資金保全
・不正引出し等への対応
・口座への滞留防止
・監督指導体制
・個人情報保護
・本人同意

【銀行口座からの出金形態】(上記資料より)
・都銀5行の給振口座からの出金の約54%はキャッシュレス(注2)(2020年度上期実績・前年同期は51%)
・2022年度早期に稼働予定の~少額決済インフラ「ことら」(注3)で少額決済領域における銀行×資金移動業者の相互運用性は極めて安価に実現可能
 (注2)計53兆円のうち、キャッシュレスの内訳は口座振替34.3%、振込19.1%、ペイジー0.3%とされています。
 (注3)都銀5行により検討中とされています。

【今後の対応方針】(上記資料より)
・次回の労働条件分科会(注4)において、具体的な制度案を示すことで議論を加速
・2021年度できる限り早期の制度化を目指す
 (注4)4月12日時点で次回日程は明らかにされていません。

また、上記の参考資料として、給与受取に関する不満についてインターネット調査を行った回答結果が示されており、58%の人が現在の給与受取方法に不便を感じているとされています。

具体的な不便さとして上位に挙げられているのは、次のものです。

・給与を引き出すためにATMや窓口に並ぶのが面倒 
・給与を引き出したり送金すると手数料がかかる
・給与口座から現金を引き出すことが面倒
・給与を引き出したり、送金できる時間が限られている
・給与を引き出しても多額の現金を持ち歩くのが不安