お知らせ

令和3年度における労災補償業務の運営に関する通達が発出されています(2021/3/16)

3月9日、厚生労働省ホームページに、「労災補償業務の運営に当たって留意すべき事項について」(令和3年2月22日労災発0222第1号)が掲載されました。

これは、令和3年度における労災補償業務の運営について、都道府県労働局長宛に発出されたもので、主に次のような内容が収録されています。

【新型コロナウイルス感染症への対応】
(1)迅速・的確な労災認定
本感染症に係る労災請求があった場合には、本省への報告および必要な本省協議を漏れなく行うこと。また、速やかに調査に着手するとともに、調査の効率化による処理の迅速化を図るなど、労働者が迅速かつ公正に労災保険給付を受けられるよう的確に対応すること。

(2)請求勧奨の実施
事業場等に対する請求勧奨の取組みに係る要請を行うこと。特に、集団感染が発生した事業場等を把握した場合については、適切な時期に請求勧奨に係る要請を確実に行うこと。

【過労死等事案に係る的確な労災認定】
(1)労働時間の的確な把握
労働者の労働時間については、使用者の指揮命令下にあることが認められる時間を的確に把握すること。
その際、タイムカード、事業場への入退場記録、パソコンの使用時間の記録等の客観的な資料を可能な限り収集するとともに、上司・同僚等事業場関係者からの聴取等を踏まえて事実関係を整理・確認し、始業・終業時刻および休憩時間を詳細に特定したうえで、当該労働者が実際に労働していると合理的に認められる時間を的確に把握すること。
例えば、移動時間については、使用者が、業務に従事するために必要な移動を命じ、当該時間の自由利用が労働者に保障されていないと認められる場合には、労働時間に該当することに十分留意するほか、別途配付予定の「労働時間の認定に係る質疑応答・参考事例集」(仮称)を参考に労働時間を適切に把握すること。

(2)労災認定基準の適切な運用
ア 脳・心臓疾患
・ 対象疾病以外の疾病が発症したとして労災請求された事案は、専門医等に対象疾病に該当するか否か等の医学意見を徴したうえで、対象疾病に該当しない場合は、本省に相談すること。
・ 過重負荷の評価にあたっては、脳・心臓疾患を発症した労働者と同程度の年齢、経験等を有する健康な状態にある者のほか、基礎疾患を有していても日常業務を支障なく遂行できる同僚または同種労働者にとっても、特に過重な業務であったか否かという観点からの検討を行うこと。
・ 労働時間以外の負荷要因の評価にあたり、不規則な勤務等の労働時間以外の負荷要因についても的確に調査を行ったうえで、医学的にみて身体的、精神的負荷が特に過重と認められるものがある場合には、これを含めて、客観的かつ総合的な判断を適切に行うこと。

イ 精神障害
・ 精神障害の認定基準においては、主治医意見により判断すべき事案、専門医意見により判断すべき事案および専門部会意見により判断すべき事案を示しているところであり、局においては、署に対して当該認定基準に基づく医学意見の収集方法について、適切な指導を行うこと。
・ 請求人がパワーハラスメントを主張する事案は、関係者が相反する主張をする場合があることから、当事者の事業場内における役割、指揮命令系統等を把握したうえで、可能な限り第三者から聴取を行う等により、業務上必要性がないまたは業務の目的を逸脱した言動等の有無につき、確認を行ったうえで、心理的負荷の評価を適切に行うこと。

【特別加入制度の周知・広報等】
労働者災害補償保険法施行規則等の一部を改正する省令(令和3年厚生労働省令第11号。令和3年1月26日付けで公布)が、令和3年4月1日付けで施行されることとなり、第二種特別加入の対象範囲の拡大等を行うこととしているが、これに係る事務処理等については、別途、年度内に通知する。