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テレワークガイドライン改定案の詳細について(3)(2021/3/12)

3月4日、第38回労働政策審議会雇用環境・均等分科会の資料にて示されたテレワークガイドライン改定案(以下、「案」という)は、平成30年2月版から全面的に刷新された内容となっています。

案のうち、今号では次の項目を見ていきます。

 テレワークにおける安全衛生の確保
10 テレワークの際のハラスメントへの対応

【8 テレワークにおける安全衛生の確保】
自宅等においてテレワークを実施する場合も、事業者には関係法令等に基づき、労働者の安全と健康の確保のための措置を講ずる必要がありますが、テレワークを行う人が増え、テレワーク環境下でのメンタルヘルス対策に関心が集まっています。

案では、「テレワークを行う労働者の安全衛生を確保するためのチェックリスト(事業者用)」(以下、「事業者用チェックリスト」という)が示され、この活用により、健康相談体制の整備やコミュニケーションの活性化のための措置を実施することが望ましいとされています。

事業者用チェックリストでは、次の1~6の項目(うち下記に示す□は法定事項。全質問数は27)に挙げられている措置を、自社が講じているかを確認することができます。活用方法としては、半年に1回程度チェックリストで確認をし、結果を衛生委員会等に報告するよう求められています。

1 安全衛生管理体制について
 □ 業種や事業場規模に応じ、必要な管理者等の選任、安全・衛生委員会等が開催されているか。
 □ 常時使用する労働者数に基づく事業場規模の判断は、テレワーク中の労働者も含めて行っているか。

2 安全衛生教育について
 □ 雇入れ時にテレワークを行わせることが想定されている場合には、雇入れ時の安全衛生教育にテレワーク作業時の安全衛生や健康確保に関する事項を含めているか。

3 作業環境
 □ 労働安全衛生規則や事務所衛生基準規則の衛生基準と同等の作業環境となっていることを確認した上でサテライトオフィス等のテレワーク用の作業場を選定しているか。

4 健康確保対策について
 □ 定期健康診断、特定業務従事者の健診等必要な健康診断を実施しているか。
 □ 健康診断の結果、必要な事後措置は実施しているか。
 □ 関係通達に基づき、労働時間の状況を把握し、週40時間を超えて労働させた時間が80時間超の労働者に対して状況を通知しているか。
 □ 週40時間を超えて労働させた時間が80時間超の労働者から申出があった場合には医師による面接指導を実施しているか。
 □ 面接指導の結果、必要な事後措置を実施しているか。
 □ テレワーク中の労働者に対し、医師による面接指導をオンラインで実施することも可能であるが、その場合、医師に事業場や労働者に関する情報を提供し、円滑に映像等が送受信可能な情報通信機器を用いて実施しているか。なお、面接指導を実施する医師は産業医に限られない。

5 メンタルヘルス対策
 □ ストレスチェックを定期的に実施し、結果を労働者に通知しているか。また、希望者の申し出があった場合に面接指導を実施しているか。(労働者数50人未満の場合は努力義務)

6 その他


また、テレワークを行う自宅等の環境について、事務所衛生基準規則等は一般には適用されないが、これらの衛生基準と同等の作業環境となるよう、取組みを継続的に実施することが望ましいとされています。

具体的には、「自宅等においてテレワークを行う際の作業環境を確認するためのチェックリスト(労働者用)」(以下、「労働者用チェックリスト」という)が示され、この活用等により作業環境に関する状況の報告を求めるとともに、必要な場合には、労使が協力して改善を図るまたは自宅以外の場所(サテライトオフィス等)の活用を検討することが重要とされています。

労働者用チェックリストでは、テレワークを行うスペースの広さや明るさ、温度や騒音等に関する基準が示されていますが、専門用語は用いず、次のようなわかりやすい表現となっています。

・作業の際に手足を伸ばせる空間があるか。
・眼、肩、腕、腰に負担がかからないような無理のない姿勢で作業を行うことができるか。
・床に書類が散らばっていないか。
・作業に使用する書類を支障なく読むことができるか。
・エアコンは故障していないか。
・騒音等により著しく集中力を欠くようなことがないか。


【10 テレワークの際のハラスメントへの対応】
現行のガイドラインにはハラスメントに関する記載がありませんが、案では、テレワークの際にも、オフィスに出勤する働き方の場合と同様に、関係法令・関係指針に基づき、職場におけるハラスメント)を行ってはならない旨を労働者に周知啓発する等、ハラスメントの防止対策を十分に講じる必要があるとされています。