お知らせ

建設業の労務費の基準に関する検討が行われました(2025/6/11)

6月3日、第8回中央建設業審議会労務費の基準に関するワーキンググループが開催され、12月めどで施行が予定されている労務費の基準の実効性の確保策や作成方針に関する検討が行われました。

建設業は深刻な人手不足が続いていることから、担い手を確保するため、「建設業法及び公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の一部を改正する法律」(令和6年法律第49号)において、労働者の処遇確保が建設業者の努力義務として規定されるとともに、適正な労務費等の確保と行き渡りのため、中央建設業審議会が「適正な労務費の基準」を作成・勧告し、違反業者は指導・監督の対象に、また発注者は勧告・企業名公表の対象となることとされました。

本ワーキンググループは、この労務費の基準に関する検討を昨年9月から行っており、第8回目では実効性の確保策や作成方針に関する検討が行われました。

次のような案が示されています。

【労務費の基準の実効性の確保策】
労務費の基準の「実効性確保」の方向性
 → 適正水準を積み上げる(下流から上流へ価格が決まる)形にしていく
 → 入口での対策(契約段階における実効性確保)と、出口での対策(労務費・賃金の支払いの実効性確保)の両面で、「労務費の基準」の実効性を確保していく
 → 公共発注者には技能者への賃金支払いの確保について一定の役割があることなど、公共工事の特性を踏まえた対策を上乗せ的に講じる

主な入口での対策(入札契約段階での実効性確保)と実効性確保策
 → 受注者が、労務費の基準を参考としつつ、自社の歩掛に即した労務費を算出し、それを明示した見積を作成
 → 建設業者は、技能者と適切に雇用契約を結び、技能者に対して、知識、技能その他の能力についての公正な評価に基づく適正な賃金を支払う
 → 建設Gメンが、建設業者から電子媒体による見積等の提出を受けて調査し、ダンピングと生産性向上を見分けた上で、指導・監督
 → 見積における労務費・必要経費の明示の促進
 → 労務費ダンピング調査の実施

主な出口での対策(労務費・賃金の支払いの実効性確保)と実効性確保策
 → 注文者は受注者に対して、労務費の基準を踏まえた適正な労務費を支払う
 → 建設業者は、技能者と適切に雇用契約を結び、技能者に対して、知識、技能その他の能力についての公正な評価に基づく適正な賃金を支払う
 → 国・都道府県(許可行政庁)、第三者機関、契約当事者が役割を分担しながら、ITを活用した簡易・任意の確認システムも活用し、技能者への適正な賃金支払いを確認

【労務費の基準の作成の暫定方針案】
「労務費の基準」の計算方法
 → 労務単価(円/人日(8時間))×歩掛(人日/単位当たり施工量)の計算式によって単位施工量当たりの労務費として示す
 → 労務単価については、公共工事設計労務単価を適用することとし、労務費の基準は、公共工事設計労務単価と同様、原則として都道府県別に示す
 → 歩掛については、国交省直轄工事で用いられている歩掛(土木工事標準歩掛、公共建築工事における歩掛)を活用する
 → 施工条件等によって適正な歩掛は異なるため、労務費の基準を公表する際に、適用した歩掛・作業内容・適用条件等を明示する

「労務費の基準」の作成単位
 → 職種別の意見交換において、具体的な細分化の程度を検討し決定する
 → 技能者の経験・技能に応じた適正な水準の労務費の確保については、基準そのものを建設キャリアアップシステム(CCUS)レベル別に作成するのではなく、極めて特殊な技能が必要な場合は、別途、個々の建設工事において労務費を上乗せすること等により適正な水準を確保する

「労務費の基準」の改定
 → 更新については年1回(公共工事設計労務単価や標準歩掛の改定と連動した更新)とすることを基本とする