職場における熱中症対策を義務化する労働安全衛生規則改正案の諮問が行われました(2025/3/13)
3月12日、第175回安全衛生分科会が開催され、職場における熱中症対策を義務化する労働安全衛生規則改正案の諮問が行われました。
職場における熱中症による死亡災害の傾向として、ほとんどが「初期症状の放置・対応の遅れ」により引き起こされ、熱中症は死亡災害に至る割合が他の災害の約5~6倍となっていることから、熱中症のおそれのある作業(注)を対象に、次の3つが罰則付きで義務付けられます。
(注)WBGT(湿球黒球温度)28度または気温31度以上の作業場において行われる作業で、継続して1時間以上または1日当たり4時間を超えて行われることが見込まれるもの
●早期発見のための体制整備
●重篤化を防止するための措置の実施手順の作成
●関係作業者への周知
具体的な内容は、資料によると次のように示されています。
●早期発見のための体制整備
→ 熱中症を生ずるおそれのある作業を行う際に、
(1)「熱中症の自覚症状がある作業者」
(2)「熱中症のおそれがある作業者を見つけた者」
がその旨を報告するための体制(連絡先や担当者)を事業場ごとにあらかじめ定め、関係作業者に対して周知する
→ 報告を受けるだけでなく、積極的に「熱中症の症状がある労働者を見つけるための措置」として、職場巡視やバディ制の採用、ウェアラブルデバイス等の活用や双方向での定期連絡等現場において取り組まれている効果的な措置を通達で推奨する
●重篤化を防止するための措置の実施手順の作成
→ 熱中症を生ずるおそれのある作業を行う際に、
(1)作業からの離脱
(2)身体の冷却
(3)必要に応じて医師の診察または処置を受けさせること
(4)事業場における緊急連絡網、緊急搬送先の連絡先および所在地等
など、熱中症の症状の悪化を防止するために必要な措置に関する内容や実施手順を事業場ごとにあらかじめ定め、関係作業者に対して周知すること
→ 措置の義務化については、新たに立ち上げる検討会において改正省令の施行状況を踏まえて検討する
●関係作業者への周知
→ 報告先等が確実に伝わることが必要であり、口頭による周知でも差し支えないが内容が複雑な場合等で口頭による周知では確実に伝わることが担保できないときには、文書の配布、掲示等によるものとする
→ 現場で周知した結果の記録の保存は求めないが、労働基準監督署の調査等に際しては説明できる必要がある
今後は、令和7年4月上旬に公布され、令和7年6月1日より施行される予定となっています。
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