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「スタートアップ企業で働く者や新技術・新商品の研究開発に従事する労働者への労働基準法の適用に関する解釈について」(令和6年9月30日基発0930第3号)が発出されています(2024/10/25)

10月22日、厚生労働省のデータベースに「スタートアップ企業で働く者や新技術・新商品の研究開発に従事する労働者への労働基準法の適用に関する解釈について」(令和6年9月30日基発0930第3号)が収録されました。

これは、「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2024改訂版」(令和6年6月21日閣議決定)において、「創業当初のため、管理監督・機密事務・研究開発を行う者とその他の事務を行う者の業務範囲が曖昧であることから本人が希望していてもこれらの制度を適用できるのかが分かりにくい。スタートアップ等の労働者や新技術・新商品の研究開発等に従事する労働者に対する裁量労働制等の運用明確化等を図る」とされたのを踏まえて示されたものです。

次のような内容となっています。

第1 スタートアップ企業で働く者の取扱いについて
1.労働者への該当性について
 → 労基法上の労働者に該当するか否かは、契約の形式や名称にかかわらず、使用従属性の有無等によって判断される

2.管理監督者への該当性について
 → 具体的には、例えばスタートアップ企業の労働者のうち、以下の者であって、定期給与である基本給、役付手当等においてその地位にふさわしい待遇がなされていたり、ボーナス等の一時金の支給率、その算定基礎賃金等についても役付者以外の一般労働者に比し優遇措置が講じられているものは、一般的には管理監督者の範囲に含めて差し支えないものと考えられる。
 ① 取締役等役員を兼務する者
 ② 部長等で経営者に直属する組織の長
 ③ ①および②と当該企業内において同格以上に位置付けられている者であって、経営上の重要事項に関する企画立案等の業務を担当するもの(全社的なプロジェクト遂行の現場業務を統括する「プロジェクトリーダー(注)」や、全社的なプロジェクト全体の技術面に特化して統括する立場にある者など)
  (注)ここでいう「プロジェクトリーダー」とは、次のような権限を有している者をいう。
  ・プロジェクトチームの構成を決定する権限
  ・プロジェクトの取引に関する事項を決定する権限
  ・プロジェクトのスケジュールを決定する権限

3.機密の事務を取り扱う者への該当性について
 → 「機密の事務を取り扱う者」とは、秘書その他職務が経営者又は監督若しくは管理の地位にある者の活動と一体不可分であって、厳格な労働時間管理になじまない者であり(昭和22年9月13日付け発基第17号)、スタートアップ企業の労働者のうち、上記のような実態が認められる者については、「機密の事務を取り扱う者」に該当し得ると考えられる。

4.専門業務型裁量労働制の適用について
 → スタートアップ企業の労働者のうち、例えば、
・ 新商品または新技術の研究開発の業務
・ 事業運営において情報処理システムを活用するための問題点の把握また.3はそれを活用するための方法に関する考案もしくは助言の業務(いわゆるシステムコンサルタントの業務)といった労働基準法施行規則等に定める業務を行う者については、労基法第38条の3に定める要件を満たす場合には、専門業務型裁量労働制の適用が可能であると考えられる。

第2 新技術や新商品の研究開発に従事する労働者の取扱いについて
1.労基法第36条第11項に規定する「新たな技術、商品又は役務の研究開発に係る業務」への該当性について
 → 「新たな技術、商品又は役務の研究開発に係る業務」とは、専門的、科学的な知識、技術を有する者が従事する新技術、新商品等の研究開発の業務をいい、必ずしも本邦初といったものである必要はないが、当該企業において新規のものでなければならず、既存の商品やサービスにとどまるものや、商品を専ら製造する業務などはここに含まれない。

2.専門業務型裁量労働制の適用について
 → 「新商品又は新技術の研究開発の業務」とは、材料、製品、生産・製造工程等の開発又は技術的改善等をいい、必ずしも本邦初といったものである必要はないが、当該企業において新規のものでなければならず、既存の商品やサービスにとどまるものや、商品を専ら製造する業務などはここに含まれない。