建設工事の労務費の基準作成に向けた検討が始まっています(2024/9/19)
9月10日、第1回労務費の基準に関するワーキンググループが開催され、建設工事の労務費の基準作成に向けた検討が始まりました。
これは、令和6年通常国会で成立した「第三次・担い手3法」(建設業法及び公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律、公共工事の品質確保の促進に関する法律。2024年6月19日公布、同日施行)にて、建設現場の担い手確保に向けた対策の一つとして「処遇改善の推進」が掲げられており、「労務費・賃金の支払実態を国が把握・公表し、施策を策定・実施」することとされているため、検討が開始されたものです。
資料によれば、基本方針に関する検討の方向性(案)として、次のような内容が示されています。
【「労務費の基準」の目的】
●適正な水準の労務費(賃金の原資)が、公共工事・民間工事に関わらず、受発注者間、元請-下請間、下請間のすべての段階において確保され、技能労働者の賃金として行き渡ることを目指す。
●具体的には、
・契約当事者間での価格交渉時に参照できる、「適正な工事実施のために計上されるべき労務費」の相場観として機能させること
・これに連動して、改正建設業法において著しく低い労務費等による契約の締結が禁止されたことを踏まえ、新ルールの実効性確保のため、行政が指導監督する際の参考指標としても活用することを目的として、基準を作成する。
【「労務費の基準」の活用・運用に関する基本方針】
●見積もる立場の中小事業者や一人親方を含め、事業者に対し、労務費の基準の活用方法をわかりやすく示すとともに、契約時において、労務費の基準に基づく見積りと書面での契約を業界慣行としていく。
●行政による、受発注者双方に対する処遇改善に向けた取組みの実施状況の調査の実施や、場合によっては、改正建設業法に基づく指導監督や勧告公表等の規制的手法も効果的に用いることにより、ルールの浸透・定着を図ることとする。
【「労務費の基準」の作成に関する基本方針】
●契約交渉時の相場観として活用されることを踏まえ、中小事業者や一人親方であっても使いやすい仕様で作成することとする。
具体的には、技能者の職種ごとに、現在の契約でも用いられている単位施工量当たりの金額(1t、1㎡作業当たりいくら)として設定することを基本とし、工種や規格の違いなどによる細分化は最小限にとどめる。
●すべての職種、工種について同時に議論、作成するのではなく、職種別に、順次検討を進めることとする。
今後については、2~3カ月に1回程度のペースで議論を重ね、令和7年11月頃までに労務費の基準の勧告を行うとのスケジュールが示されています。
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