お知らせ

知的財産権に関する紛争における責任転嫁行為の未然防止策を強化するため「知的財産取引に関するガイドライン」および「契約書ひな形」が改正されます(2024/8/5)

7月31日、中小企業庁は、「知的財産取引に関するガイドライン」および「契約書ひな形」の改正(案)に対するパブリックコメント募集を開始しました。

これは、知的財産取引の問題に特化して中小企業からヒアリングを行う知財Gメンによる調査の中で、発注者への納品物について、第三者との間に知財権上の紛争が発生した場合に、発注者が例外なく受注側中小企業にその責任を転嫁できる可能性のある契約を締結していた発注者が複数社発見され、当該条項が発動した実績こそないものの、未然防止策の強化を目的として、改正を行うこととされたものです。

改正内容は、次のとおりです。

【知的財産取引に関するガイドライン】
以下の内容が追加されるほか、時点的な修正が行われます。
 
・ 例外なく一方的に、中小企業に第三者の知財権の侵害に係る紛争解決責任を転嫁されることがないよう、大企業、中小企業双方の当該知財権の侵害に対する寄与度に応じて、適切に当該紛争解決責任を分担すべきこと。
・ 中小企業から大企業へ納品する目的物の仕様が、第三者の知財権を侵害していないことに係る調査義務および侵害していない旨の保証責任について、例外なく一方的に中小企業に負担させるのではなく、当該仕様の決定において大企業、中小企業双方が果たした役割等を踏まえ、明示的に協議のうえ、適切に分担すべきこと。
・ 中小企業に第三者が有する知財権の侵害責任がないにもかかわらず、第三者が中小企業を相手に訴訟を起こした場合、中小企業が不当な紛争解決責任・損害賠償責任を免れるために、大企業が応じるべき中小企業からの要求内容を例示。
・ 大企業から中小企業に対する「指示」の定義について、書面等による明確な指示に限らず、口頭での助言のような、結果として第三者の知財権侵害を引き起こすきっかけとなった行為も「指示」に含まれる可能性があること。

【契約書ひな形】
第三者との間に知財権紛争が生じた場合における対応に係るモデル条項として、下記の新設等が行われます。

第8条 (第三者が有する知的財産権に関する紛争への対応)
  本業務における目的物又は目的物を組み込んだ製品(以下、「目的物等」という。)について、目的物等に起因して第三者との間に知的財産権に関する紛争が生じたときは、甲及び乙は、速やかにその旨を相手方に通知する。
  前項の紛争の解決に係る負担について、甲及び乙は、当該知的財産権の侵害に係る自らの責任の範囲において当該負担の責任を負う。