お知らせ

「育成就労法」が成立しました(2024/6/18)

6月14日、参院本会議にて出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律案が賛成多数により可決、成立しました。

改正内容について、厚生労働省の第6回外国人介護人材の業務の在り方に関する検討会(令和6年3月22日開催)で示された資料では、次のように示されています。

【入管法】
1 新たな在留資格創設
 → 技能実習の在留資格を廃止、「育成就労」の在留資格を創設(注1)。
 (注1)さらに、一定基準に適合する企業の外国事業所の職員が技能等を修得するための「企業内転勤2号」の在留資格を創設。

2 特定技能の適正化
 → 特定技能所属機関(受入れ機関)が1号特定技能外国人の支援を外部委託する場合の委託先を、登録支援機関に限る。

3 不法就労助長罪の厳罰化
 → 外国人に不法就労活動をさせる等の不法就労助長罪の罰則を、拘禁刑5年以下または500万円以下(併科可)に引上げ。

4 永住許可制度の適正化
 → 永住許可の要件を一層明確化し、その基準を満たさなくなった場合等の取消事由を追加。ただし、特段の事情がない限り、在留資格を変更して引き続き在留を許可。

【育成就労法 (技能実習法の抜本改正)】
1 育成就労制度の目的・基本方針
 → 法律名を「外国人の育成就労の適正な実施及び育成就労外国人の保護に関する法律」(育成就労法)に改める。
 → 育成就労制度は、育成就労産業分野において、特定技能1号水準の技能を有する人材を育成するとともに、当該分野における人材を確保することを目的とする。
 → 政府は基本方針および分野別運用方針を定めるものとし、分野別運用方針において、各分野の受入れ見込数を設定する。

2 育成就労計画の認定制度
 → 育成就労計画の認定にあたって、育成就労の期間が3年以内(注2)であること、業務、技能、日本語能力その他の目標や内容、受入れ機関の体制、外国人が送出し機関に支払った費用額等が基準(注3)に適合していることといった要件を設ける。
 → 転籍の際には、転籍先において新たな育成就労計画の認定を受けるものとし、当該認定は、①やむを得ない事情がある場合や、②同一業務区分内であること、就労期間(1~2年の範囲で業務の内容等を勘案して主務省令で規定)・技能等の水準・転籍先の適正性に係る一定の要件(注4)を満たす場合(本人意向の転籍)に行う。
 (注2)主務省令で定める相当の理由(試験不合格)がある場合は、最大で1年の延長可。
 (注3)詳細な要件は、主務省令で定める。
 (注4)詳細な要件は、主務省令で定める。具体的には、下記を要件とすることを予定。
・ 同一機関での就労期間については分野ごとに1年から2年の範囲で設定すること
・ 技能等の水準については、技能検定試験基礎級等および分野ごとに設定するA1~A2相当の日本語能力に係る試験への合格
・ 転籍先が、育成就労を適正に実施する基準を満たしていること

3 関係機関の在り方
 → 監理団体に代わる「監理支援機関」については、外部監査人の設置を許可要件とする。監理支援機関は、受入れ機関と密接な関係を有する役職員を当該受入れ機関に対する業務に関わらせてはならないものとする。
 → 外国人技能実習機構に代わる「外国人育成就労機構」を設立。育成就労外国人の転籍支援や、1号特定技能外国人に対する相談援助業務を追加。

4 その他
 → 季節性のある分野において、派遣形態による育成就労の実施を認める。
 → 制度所管省庁が地域協議会を組織することができるものとし、地域の実情を踏まえた取組みについて協議を行う。
 → 施行までに技能実習生として入国した者は、施行後、現段階から次の段階までの資格変更(例:1号→2号、2号→3号)を一定の範囲で認める。

なお、同法については、衆院法務委員会で修正案が可決されているほか、参院法務委員会で29の附帯決議が採択されています。

今後は、公布の日から起算して3年を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとされていますが、準備行為に係る一部の規定は公布の日から施行されます。