個人事業者等に対する安全衛生対策に関する検討が行われています (2024/5/7)
4月26日、第161回労働政策審議会安全衛生分科会が開催され、個人事業者等に対する安全衛生対策に関する検討が行われました。
同対策については、昨年10月の「個人事業者等に対する安全衛生対策のあり方に関する検討会報告書」にて次の3つの論点と検討結果が示されましたが、既に2・3は措置が講じられています。
1 危険有害作業に係る個人事業者等の災害を防止するための対策①(個人事業者自身、注文者等による対策)
2 危険有害作業に係る個人事業者等の災害を防止するための対策②(事業者による対策)
3 危険有害作業以外の個人事業者等対策(過重労働、メンタルヘルス、健康管理等)
そのため、検討の対象は上記1に関する次の4つとなっています。
●個人事業者等の業務上の災害の把握方法等
●個人事業者自身による措置のあり方
●注文者(発注者)による措置のあり方
●発注者以外の災害リスクを生み出す者等による措置のあり方
検討内容等については、次のように総論と各論に分けて示されており、総論については案も示されています。
●総論1:労働安全衛生法上の「個人事業者等」の範囲
→ 論点:個人事業者をどのように定義すべきか。また、個人事業者以外にどの範囲まで対象に含めるべきか。
→ 対応案:労働安全衛生法において保護対象や義務主体とする「個人事業者等」の範囲は以下のとおりとしてはどうか。
・個人事業者→労働者を使用しない、法人、非法人(個人)かは問わない、請負契約や業務委託契約のような契約の有無は問わない(=農家、芸術家なども含む)
・中小事業の事業主および役員→個人事業者や労働者が行うのと類似の作業を自ら行う中小事業の事業主や役員
・「取引関係」や「請負関係」のみに限定せず、誰からも仕事を請け負うことなく事業活動を行う個人事業者も含め、広く保護、規制の対象とすることが適当ではないか
●総論2:労働安全衛生法で「個人事業者等」を保護し、または規制するにあたっての考え方
→ 論点:個人事業者等自身に措置を求めることができるのはどのような場合か。
→ 対応案:労働者と同じ場所で就業する場合とすることが適当ではないか。
→ 論点:事業者や注文者、建築物や機械等の貸与者に個人事業者等の保護の観点から措置を求めることができるのはどのような場合か。
→ 対応案:個人事業者等が労働者と同じ場所で就業する場合には、事業者や注文者、建築物や機械等の貸与者に個人事業者等の保護の観点から措置を求めることが適当ではないか。
個人事業者等が労働者とは異なる場所で就業する場合であっても、注文した仕事に係る作業場所や作業方法から生ずる災害リスクへの対応については、安衛法の既存の枠組み(発注者、注文者対策)の活用が可能なものもあるため、これを活用することとしてはどうか。
→ 論点:個人事業者等自身や事業者、注文者、建築物や機械等の貸与者に措置を求めることが困難な場合にどのような方策があるか。
→ 対応案:法令に基づく措置が困難な場合であっても、個人事業者等の危険や健康障害を防止する観点から、ガイドライン等により関係者に措置を求めることとしてはどうか。
●各論1:個人事業者等自身でコントロール可能な災害リスクへの対策
●各論2:個人事業者等自身でコントロール不可能な災害リスクへの対策
●各論3:その他(各論1、各論2の実行性を高めるための取組み等)
今後は、これらに関する議論が行われる見通しとなっています。
≪ 危険有害作業に係る個人事業者等の災害を防止するための事業者による対策に関する改正省令・通達が発出されています | 「令和6年分所得税の定額減税について(給与所得者の方へ)」が公表されています ≫