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働き方改革関連法附則12条に基づく労働基準法等の見直しの検討が始まります(2024/1/24)

1月22日、第1回労働基準関係法制研究会が開催され、働き方改革関連法附則12条に基づく労働基準法等の見直しの検討が始まりました。

資料では、「労働基準に関する諸制度について(これまで示された課題)」として、次の項目が挙げられています。主な課題とあわせて紹介します。

労働基準法全体(事業、労働者等)
 → 事業場単位で捉えきれない労働者が増加していることなどを考慮すると、「労働者」「事業」「事業場」等の労働基準法制における基本的概念についても、経済社会の変化に応じて在り方を考えていくことが必要
 → 産業構造の変化により、、個人事業の一部には労働基準法8条各号のいずれにも該当しないものが現れてきたため、これらの事業についても労働基準法を適用することとすべきである。その際、各号列記方式については、これを改め、包括的適用方式とすることが適当

労働基準法の適用除外(家事使用人)
 → ILOの報告書によると、労働法を適用除外としている国が非常に減っており、2020年に8.3%まで減少。日本においても就業実態を踏まえて、適用除外の規定の廃止も含めて、見直し・検討してもいいのではないか

労働時間制度全体
 → 個々の労働者の置かれた状況に応じた健康管理について、医学や診断技術の進歩も考慮しつつ、継続的に検討していくことが必要
 → 特に、働く自由度や仕事の裁量が大きい業務に従事している人、時間や場所にとらわれない働き方をとる人、副業・兼業を行う人などは、企業による健康状態等の把握や管理が難しく、長時間労働や過重労働による健康への影響が懸念される
 → 時間や場所にとらわれない働き方の拡大を踏まえ、労働者の心身の健康への影響を防ぐ観点から、勤務時間外や休日などにおける業務上の連絡等の在り方についても引き続き議論がなされることが必要
 → 企業において労働者の健康管理を行うにあたって、業務遂行に直接に関わる部分を超えて労働者の健康に係る情報をどこまで企業が把握してよいかについても課題であり、検討することが必要

各労働時間制度等
 ・フレックスタイム制
  → 働き方改革関連法の改正施行の状況を十分に把握した上で検討を進めていくことが求められる
 ・事業場外みなし労働時間制
  → 労使双方の多様なニーズに応じた働き方の実現や情報通信技術の進展、コロナ禍によるテレワークの普及といった状況変化等も踏まえ、この制度の対象とすべき状況等について改めて検討が求められる
 ・年次有給休暇
  → さらなる取得率向上のため、例えば、年次有給休暇の完全消化を前提に年度当初に取得計画を作成することや、そのために必要な要員配置を行うことを企業に推奨するなど、より一層の取得率向上の取組みが求められる
  → 年5日を超えて時間単位年休を取得したいという労働者のニーズについては、まずはこうしたニーズに応えるような各企業独自の取組みを促すことが必要
  → リフレッシュのための休暇とそれ以外の休暇を分けて考えるべきであり、例えば病気休暇などについて検討すべき課題であるとの指摘等があった

勤務間インターバル制度
 → 働き方改革関連法の施行の状況等を十分に把握した上で検討を進めていくことが求められる

つながらない権利
 → 海外で導入されているいわゆる「つながらない権利」を参考にして検討を深めていくことが考えられる

副業・兼業
 → 令和5年度中に設置予定の働き方改革関連法の見直しに係る検討会において、割増賃金の支払いに係る労働時間の通算管理の在り方について、労働基準法等の関係法令における行政解釈の変更も含めて検討し、結論を得る

法定労働時間の特例(週44時間特例措置対象事業場)
 → 特例措置対象事業場の範囲の縮小を図る方向で、改めて審議会で検討の上、所要の省令改正を行うことが適当

労働時間規制の適用除外(管理監督者等)
 → 各企業においてどのような者が管理監督者に該当するか、適切な判断が難しいのではないかといった指摘がある

労使コミュニケーション
 → 企業内等において、多様な働く人の声を吸い上げ、その希望を労働条件の決定に反映させるためには、現行の労働基準法制における過半数代表者や労使委員会の意義や制度の実効性を点検した上で、多様・複線的な集団的な労使コミュニケーションの在り方について検討することが必要

労働市場を活用した自主的な労働条件の向上の取組み
 → 企業の自主的な取り組みを支援し促進することを通して履行確保を図るという対応も検討される必要がある
 → そのためには、企業に対して法制度の周知・啓発を図る、コンサルティング等を通して労働条件や職場環境を点検し、改善を図る企業の自主的な取り組みを促進する等の対応が考えられる
 → さらに、企業に対して労働条件、職場環境等に関する情報の開示を促し、企業が労働市場における評価を通して労働条件、職場環境等の改善を進めるとの好循環を生むといった、労働市場の強化を図り、市場メカニズムを活用する方法を検討することが必要

賃金請求権等の時効
 → 施行後5年を経過した場合において、この法律による改正後の規定につい
て、その施行の状況を勘案しつつ検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずる

働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案に対する附帯決議
 → 長時間労働削減策の実行に併せ、事業主が個々の労働者の労働時間の状況の把握を徹底し、かつその適正な記録と保存、労働者の求めに応じた労働時間情報の開示を推奨することなど、実効性ある改善策を講じていくこと