「年収の壁・支援強化パッケージ」における「社会保険適用促進手当」および「事業主の証明による被扶養者認定」のQ&Aが改正されています(2023/12/28)
12月25日、厚生労働省は、「年収の壁・支援強化パッケージ」における「社会保険適用促進手当」および「事業主の証明による被扶養者認定」の改正Q&Aを公表しました。
改正部分の一部をピックアップして紹介します。
【社会保険適用促進手当に関するQ&A】
●対象者について
Q2-6: 以前からの勤め先ですでに社会保険に加入していますが、別の事業所でも加入要件を満たしたため社会保険に加入します。新たに社会保険に加入する事業所で社会保険促進手当の支払いを受けますが、今回の措置(社会保険適用促進手当の標準報酬算定除外)の対象となるのでしょうか。
A2-6: 複数の事業所に勤務し、各事業所において社会保険の加入要件を満たしている被保険者については、事業所ごとで今回の措置の対象となるのか確認します。
そのため、新たに社会保険に加入する事業所で、当該事業所の報酬のみで標準報酬月額を算出したならば、その額が10.4万円以下である場合には、今回の措置の対象となります。
Q2-7: 社会保険適用促進手当は、各労働者について最大2年間、標準報酬月額・標準賞与額の算定において考慮しないとのことですが、同手当の対象となっていた労働者が退職し、一定期間経過後に同一事業所で再度雇用された場合、標準報酬等の算定に考慮しない期間はどのように取扱われますか。
A2-7: 同一事業所で一定期間経過後に再度雇用された場合は、それぞれの被保険者期間で2年が経過するまで算定に考慮しない措置の対象となります。
なお、同日得喪で被保険者資格が継続している場合は、通算して2年が経過するまで算定に考慮しない措置の対象となります。
Q2-8: 厚生年金又は健康保険のいずれか片方のみに加入している場合であっても、今回の措置(社会保険適用促進手当の標準報酬算定除外)の対象となるのでしょうか。
A2-8: 70歳以上で健康保険のみに加入している場合等、厚生年金又は健康保険のいずれか一方の制度のみに加入している場合も今回の措置の対象となります。
なお、この場合は標準報酬月額等の算定の対象から除くことができるのは、加入している制度に係る被保険者本人負担分が上限となります。
●手当の支給について
Q3-13: 在職老齢年金制度によって、厚生年金保険の適用事業所で就労し、一定以上の賃金(標準報酬月額・標準賞与額)を得ている60歳以上の老齢厚生年金の受給者は、賃金(標準報酬月額・標準賞与額)に応じて老齢厚生年金の一部または全部が支給停止されますが、支給停止額の算定に当たって社会保険適用促進手当は考慮されるのでしょうか。
A3-13: 社会保険適用促進手当は、標準報酬月額・標準賞与額の算定に考慮しないことから、在職老齢年金制度による支給停止額の算定においても考慮されません。
【事業主の証明による被扶養者認定Q&A】
●制度について
Q1-9: 健康保険組合等の保険者における被扶養者の収入確認期間が令和5年10月20日をまたいでいる場合、既に確認した被扶養者について、事業主の証明を求めて、再度収入確認をやり直す必要があるのでしょうか。
A1-9: 健康保険組合等の保険者において被扶養者の収入確認期間が、措置の詳細をお示しした令和5年10月20日をまたいでいる場合、当該期間に係る一連の収入確認について、従前どおりの取扱いとして差し支えありません(今回の措置(事業主の証明による被扶養者認定の円滑化)を適用する必要はありません)。
●対象者について
Q2-6: 今回の措置(事業主の証明による被扶養者認定の円滑化)については、あくまでも「一時的な事情」として認定を行うことから、同一の者について原則として連続2回までを上限とすることとされていますが、被保険者の転職等に伴い保険者が変更となった場合はどのように考えれば良いでしょうか。
A2-6: 被保険者の転職等に伴い保険者が変更となった場合、事業主の証明を用いて一時的な収入変動である旨を保険者が確認した回数の引継ぎはせず、新たに加入した保険者で行った収入確認を1回目としてカウントすることとなります。
●事業主の証明について
Q3-9: 事業主の証明は、人事担当者など事業主以外であっても記載可能でしょうか。
A3-9: 事業主の証明については、事業主の氏名等を記載いただくこととなっていますが、複数の店舗がある企業で店舗ごとに人事管理を行っている場合等、企業の組織形態 によっては事業主に記載いただくことが困難であることも考えられます。
そのような場合には、人事労務管理を担当している部署の責任者など、被扶養者の方の就労状況、労働条件等についてよく把握している方の氏名等を記載ください。
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