お知らせ

サーマルカメラの使用等に関する注意喚起が行われています(2023/9/15)

9月13日、個人情報保護委員会は、「サーマルカメラの使用等に関する注意喚起について」を公表し、サーマルカメラを使用する場合および製造・販売する場合の個人情報保護法上の留意点について、注意喚起を行っています。

サーマルカメラとは、赤外線を検知して温度を計測するカメラのことで、顔画像を取得する機能を有するものがあることが確認されています。

特定の個人を識別することができる顔画像は「個人情報」(個人情報の保護に関する法律(以下、「法」という)2条1項)に該当することから、サーマルカメラを使用する事業者等には法の規律が適用されるところ、事業者等においてこのことが十分に認識されず、適用を受ける法の規律が遵守されずに顔画像の取得、サーマルカメラの廃棄等が行われている可能性があることから、法に基づく留意点を取りまとめたものです。

使用する場合の留意点としては、サーマルカメラにより「個人情報」(法2条1項)を取り扱う場合と、サーマルカメラで取得した顔画像の情報が「個人情報データベース等」(法16条1項)を構成する場合の2つが示されています。

【「個人情報」(法2条1項)を取り扱う場合の留意点】
個人情報である顔画像等の利用目的をできる限り具体的に特定するとともに(法17条 1項)、「取得の状況からみて利用目的が明らかであると認められる場合」(法21条4項4号)に当たらない場合は、あらかじめその利用目的を公表している場合を除き、速やかに、その利用目的を本人に通知し、または公表する
 例:特定した利用目的を、ホームページ等において公表する、サーマルカメラの設置場所に分かりやすく掲示するといった方法が考えられる

個人情報取扱事業者は、偽りその他不正の手段により個人情報を取得してはならないところ(法20条1項)、サーマルカメラの設置状況や外観等から、サーマルカメラにより検温が行われているのみならず、自らの個人情報が取得されていることが本人において容易に認識可能といえない場合には、容易に認識可能とするための措置を講じる
 例:サーマルカメラが顔画像を取得している旨をサーマルカメラの設置場所に掲示する
 また、設置状況等からサーマルカメラにより自らの個人情報が取得されていることが本人において容易に認識可能であったとしても、このような掲示等の措置を講じることにより、より容易に認識可能とすることが望ましい

【サーマルカメラで取得した顔画像の情報が「個人情報データベース等」(法16条1項)を構成する場合の留意点】
顔画像を含む個人データを利用する必要がなくなったときは、当該個人データを遅滞なく消去するよう努めること(法22条)

法23条に基づき、個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)等に従い、当該個人データの漏えい、滅失または毀損の防止その他の個人データの安全管理のために必要かつ適切な措置を講じること
 例:サーマルカメラにより取得した顔画像等を取り扱う従業者を限定する、管理者および従業者の取扱いに関する規程等を整備する、従業者に対する研修等を実施する、顔画像が保存されたサーマルカメラ等の盗難または紛失等を防止するために設置場所等に応じた適切な安全管理を行う、顔画像のデータをネットワーク上で取り扱う場合に適切なアクセス制御等の措置を講じる

特に、使用したサーマルカメラが不要になり、廃棄したり、中古品として売却したりする場合には、上記の安全管理措置(法23条)の一貫として、当該サーマルカメラに保存された個人データを復元不可能な手段で消去する等、個人データの漏えい等を防止するために必要な措置を行うこと

なお、サーマルカメラにより取得された特定の個人を識別できる顔画像が、個人情報データベース等を構成していない場合には、個人データとして法23条の安全管理措置を講ずる義務が直接適用される対象ではないものの、当該顔画像が漏えい等することがないよう、各種安全管理措置を参考として適切に取り扱うことが望ましい