お知らせ

企業における人権尊重の取組みに関する課題への対応に関する検討会が開始されています(2023/8/25)

8月23日、第1回国内の労働分野における政策手段を用いた国際課題への対応に関する検討会が開催されました。

近年、企業に人権尊重を求める動きが加速し、令和4年9月には、国際スタンダードを踏まえた企業による人権尊重の取組みをさらに促進すべく、「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」(以下、「ガイドライン」という)が策定されました。

令和5年5月、G7広島サミットの首脳コミュニケにおいても、グローバル・サプライチェーン(GSC)上において、「国際労働基準及び人権、特に国際労働機関(ILO)によって採択された基本条約の尊重を確保すること、また、技術協力によるものを含む、SDGsの目標8に沿ったディーセント・ワークの促進にコミットする。」と合意されるなど、国際労働基準を踏まえた取組みや労働者のディーセント・ワークの実現に向けた支援が一層求められています。

一方で、我が国の企業がGSCにおいてガイドラインに沿って対処するにあたり、具体的な取組み方法がわからないという課題もあります。

本検討会は、こうした労働分野での課題に対し、日本が国内でこれまで実施してきた政策的経験・知見も活用しながら、解決のプロセスおよび国際協力を推進するための戦略について検討することを目的として、開催されることとなりました。

資料によれば、課題設定および検討事項として、次の内容が示されています。

【課題設定】
・「ガイドライン」2.1.2.1.において、「企業が尊重すべき「人権」とは、国際的に認められた人権をいう。(中略)「労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言」に挙げられた基本的権利に関する原則(注)が含まれる。」と、「基本的原則および権利」を規定。
  (注)結社の自由および団体交渉権の効果的な承認、あらゆる形態の強制労働の禁止、児童労働の実効的な廃止、雇用および職業における差別の排除、安全で健康的な作業環境を指す。なお、安全で健康的な作業環境は、2022年6月のILO総会における決議より追加された。

・「ガイドライン」4.2において、「企業は、人権尊重責任を果たすため、企業活動による人権への負の影響を引き起こしたり助長したりすることを回避し、負の影響を防止・軽減することが求められる。」と規定。

・取組みを進めるにあたり、具体的に、①いかなる点について、②いかなる行動が、求められているのか。企業の自主的取組みを支援するうえで、国内施策の知見が役立つのではないか。

・「基本的原則および権利」それぞれに関する国内での整理・解釈・対策はどのようなものか。

・ステークホルダーが抱える課題、求める知見は何か。

・国内政策知見を基にどのような支援を提供できるのか。

【検討事項】
1 我が国の企業がGSCにおいて尊重すべき事項について、「労働における基本的な原則及び権利に関するILO宣言」に述べられている基本的権利に関する原則に沿って示す。併せて、企業が取組みを進めるうえで生じている労働分野での具体的な課題について、厚生労働省がこれまで国内において実施してきた既存の法令遵守や労働安全衛生等の施策手法の活用可能性を検討する。
2 GSCにおける労働分野の課題を改善、是正するための国際協力の在り方について検討する。

今後の予定としては、労使団体や企業に対して、現在の取組みや課題等のヒアリングを実施する案が示されています。