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インボイス制度の実施に関連した注意事例が公表されています(2023/5/24)

5月18日、公正取引委員会は、インボイス制度の実施に関連して、独占禁止法違反につながるおそれのある複数の事例が確認されたため、違反行為の未然防止の観点から、どういった業態の発注事業者と免税事業者との間でそうした事例が発生したかということに加え、事例を踏まえた独占禁止法・下請法上の考え方を明らかにするとして、注意事例を公表しました。

注意事例は、一部の発注事業者が、経過措置(注)により一定の範囲で仕入税額控除が認められているにもかかわらず、取引先の免税事業者に対し、インボイス制度の実施後も課税事業者に転換せず、免税事業者を選択する場合には、消費税相当額を取引価格から引き下げると文書で伝えるなど一方的に通告を行ったというものです。
 (注)免税事業者からの課税仕入れについては、インボイス制度の実施後3年間は、仕入税額相当額の8割、その後の3年間は同5割の控除ができることとされています。

注意の対象となった事業者の業態と取引の相手方は、次のとおりです。

業態
・イラスト制作業者
・農産物加工品製造販売業者
・ハンドメイドショップ運営事業者
・人材派遣業者
・電子漫画配信取次サービス業者

取引の相手方
・イラストレーター 
・農家
・ハンドメイド作家
・翻訳者・通訳者
・漫画作家

独占禁止法上または下請法上の考え方としては、次の2点が示されています。

取引上優越した地位にある事業者が、経過措置により一定の範囲で仕入税額控除が認められているにもかかわらず、取引先の免税事業者に対し、インボイス制度の実施後も課税事業者に転換せず、免税事業者を選択する場合に、消費税相当額を取引価格から引き下げるなどと一方的に通告することは、独占禁止法上問題となるおそれがあります。

下請法上の親事業者が、経過措置により一定の範囲で仕入税額控除が認められているにもかかわらず、取引先の免税事業者である下請事業者に対し、インボイス制度の実施後も課税事業者に転換せず、免税事業者を選択する場合に、消費税相当額を取引価格から引き下げるなどと一方的に通告することは、下請法上問題となるおそれがあります。