お知らせ

三位一体の労働市場改革の指針(案)が示されました(2023/5/17)

5月16日、第18回新しい資本主義実現会議が開催され、三位一体の労働市場改革の指針(案)が示されました。

目標として、次の3つを掲げています。

  三位一体の労働市場改革を進めることで、構造的賃上げを通じ、同じ職務であるにもかかわらず、日本企業と外国企業の間に存在する賃金格差を、国毎の経済事情の差を勘案しつつ、縮小することを目指す。併せて、性別、年齢等による賃金格差の解消を目指す。
 また、我が国の場合、これまでは転職前後の賃金を比較すると、転職後に賃金が減少する傾向が見られた。内部労働市場と外部労働市場の形成とそのシームレスな接続により、転職により賃金が増加する者の割合が減少する者の割合を上回ることを目指す。
 官民でこれらの進捗状況を確認しつつ、改革の取組みを進める。

そして、以下の改革を三位一体で進めることとされています。

リ・スキリングによる能力向上支援
個々の企業の実態に応じた職務給の導入
成長分野への労働移動の円滑化

これらに関する具体的な取組みの内容等は、次のとおりです。実施時期が示されているものは、( )書きにてあわせて紹介します。

リ・スキリングによる能力向上支援
(1)個人への直接支援の拡充(※5年以内を目途)
(2)日本企業の人への投資の強化の必要性
(3)「人への投資」施策パッケージのフォローアップと施策見直し(※毎年度パッケージの実施状況をフォローアップし、その結果を翌年度の予算内容へと反映)
(4)雇用調整助成金の見直し
(5)デジタル分野などの認定講座の拡充
(6)給与所得控除におけるリ・スキリング費用の控除の仕組みの柔軟化

個々の企業の実態に応じた職務給の導入
(1)職務給の個々の企業の実態に合った導入(※年内に、個々の企業が具体的に参考にできるよう、事例集を民間企業実務者を中心とした分科会で取りまとめ)
(2)給与制度・雇用制度の透明性の確保(※「人的資本可視化指針」を年内に改訂)
(3)いくつかの導入事例

成長分野への労働移動の円滑化
(1)失業給付制度の見直し
(2)退職所得課税制度等の見直し(※iDeCoについて、拠出限度額の引上げおよび受給開始年齢の上限の引上げについて、2024年の公的年金の財政検証に併せて結論を得る)
(3)自己都合退職に対する障壁の除去
(4)求人・求職・キャリアアップに関する官民情報の共有化
(5)副業・兼業の奨励
(6)厚生労働省関係の情報インフラ整備

また、構造的賃上げを行っていくためには、三位一体の労働市場改革と並行して、「中小・小規模企業の賃上げには労務費の適切な転嫁を通じた取引適正化が不可欠である」という考え方を社会全体で共有し、賃上げの原資を確保し、成長と“賃金上昇”の好循環を実現する価格転嫁対策を徹底する必要があるとして、次のような取組み内容が示されています(実施時期が示されているものは、( )書きにてあわせて紹介)。

多様性の尊重と格差の是正
(1)最低賃金(※今夏以降は、1,000円達成後の最低賃金引上げの方針についても新しい資本主義実現会議で議論)
(2)中小・小規模企業等の賃上げに向けた環境整備等(※労務費の転嫁の在り方について指針を年内にまとめる)
(3)同一労働・同一賃金制の施行の徹底(※労働基準監督署による調査の賃金格差是正への効果を見て、年内に順次フォローアップし、その後の進め方を検討する。この際、必要に応じ、関係機関の体制の強化を検討)
(4)女性活躍推進法の開示義務化のフォローアップ
(5)キャリア教育の充実
(6)外国人労働者との共生の推進

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