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特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律案が国会に提出されています(2023/2/27)

2月24日、政府は、「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律案(フリーランス・事業者間取引適正化等法案)」を閣議決定し、国会に提出しました。

次のような内容となっています。

目的
我が国における働き方の多様化の進展に鑑み、個人が事業者として受託した業務に安定的に従事することができる環境を整備するため、特定受託事業者に業務委託をする事業者について、特定受託事業者の給付の内容その他の事項の明示を義務付ける等の措置を講ずることにより、特定受託事業者に係る取引の適正化および特定受託業務従事者の就業環境の整備を図り、もって国民経済の健全な発展に寄与する。

対象となる当事者・取引の定義
・特定受託事業者
 → 業務委託の相手方である事業者であって従業員を使用しないもの
・特定受託業務従事者
 → 特定受託事業者である個人および特定受託事業者である法人の代表者
・業務委託
 → 事業者がその事業のために他の事業者に物品の製造、情報成果物の作成または役務の提供を委託すること
・特定業務委託事業者
 → 特定受託事業者に業務委託をする事業者であって、従業員を使用するもの
 (注1) 「従業員」には、短時間・短期間等の一時的に雇用される者は含みません。

特定受託事業者の給付の内容その他の事項の明示等
特定受託事業者に対し業務委託をした場合は、特定受託事業者の給付の内容、報酬の額等を書面または電磁的方法により明示しなければならないものとする。
 (注2)従業員を使用していない事業者が特定受託事業者に対し業務委託を行うときについても同様です。

報酬の支払期日等
特定受託事業者の給付を受領した日から60日以内の報酬支払期日を設定し、支払わなければならないものとする(再委託の場合には、発注元から支払いを受ける期日から30日以内)。

特定業務委託事業者の遵守事項
特定受託事業者との業務委託(政令で定める期間以上のもの)に関し、(1)~(5)の行為をしてはならないものとし、(6)・(7)の行為によって特定受託事業者の利益を不当に害してはならないものとする。
(1)特定受託事業者の責めに帰すべき事由なく受領を拒否すること
(2)特定受託事業者の責めに帰すべき事由なく報酬を減額すること
(3)特定受託事業者の責めに帰すべき事由なく返品を行うこと
(4)通常相場に比べ著しく低い報酬の額を不当に定めること
(5)正当な理由なく自己の指定する物の購入・役務の利用を強制すること
(6)自己のために金銭、役務その他の経済上の利益を提供させること
(7)特定受託事業者の責めに帰すべき事由なく内容を変更させ、またはやり直させること

特定受託業務従事者の就業環境の整備
・広告等により募集情報を提供するときは、虚偽の表示等をしてはならず、正確かつ最新の内容に保たなければならないものとする。
・特定受託事業者が育児介護等と両立して業務委託(政令で定める期間以上のもの。以下、「継続的業務委託」といいます)に係る業務を行えるよう、申出に応じて必要な配慮をしなければならないものとする。
・特定受託業務従事者に対するハラスメント行為に係る相談対応等必要な体制整備等の措置を講じなければならないものとする。
・厚生労働大臣は、上記に定める事項に関し、特定業務委託事業者が適切に対処するために必要な指針を公表する。

解除等の予告
・継続的業務委託を中途解除する場合等には、原則として、中途解除日等の30日前までに特定受託事業者に対し予告しなければならないものとする。
・特定受託事業者が、予告がされた日から契約満了日までの間において、契約の解除の理由の開示を特定業務委託事業者に請求した場合には、当該特定業務委託事業者は、当該特定受託事業者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、遅滞なくこれを開示しなければならない。ただし、第三者の利益を害するおそれがある場合その他の厚生労働省令で定める場合は、この限りでない。

申出等
・特定受託事業者は、特定受託業務従事者の就業環境の整備および解除等の予告に関する規定に違反する事実がある場合には、厚生労働大臣に対し、その旨を申し出て、適当な措置をとるべきことを求めることができる。
・厚生労働大臣は、申出があったときは、必要な調査を行い、その申出の内容が事実であると認めるときは、この法律に基づく措置その他適当な措置をとらなければならない。

違反した場合等の対応
公正取引委員会、中小企業庁長官または厚生労働大臣は、特定業務委託事業者等に対し、違反行為について助言、指導、報告徴収・立入検査、勧告、公表、命令をすることができるものとする。
 (注3)命令違反および検査拒否等に対しては、50万円以下の罰金に処されます。法人両罰規定あり。

施行期日
公布の日から起算して1年6月を超えない範囲内において政令で定める日