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トラック運送業の改善基準告示見直しに関する報告案が示されました(2022/9/9)

9月8日、第10回労働政策審議会労働条件分科会自動車運転者労働時間等専門委員会トラック作業部会が開催され、トラック運送業の改善基準告示見直しに関する報告案が示されました。

次のような内容となっています(下線部分が変更点)。

【拘束時間】
・1年間:3,300時間
・1か月:284時間
・労使協定により年間6カ月までは年間の総拘束時間が3,400時間を超えない範囲内で1カ月の拘束時間を310時間まで延長可。この場合、1カ月284時間超えが3カ月超連続しないものとし、1カ月の時間外・休日労働時間数が100時間未満となるよう努める

【1日の拘束時間、休息期間】
・原則13時間(最大15時間)
1週間における運行がすべて長距離貨物運送(一の運行の走行距離が 450 ㎞以上の貨物運送をいう。以下同じ。)であり、かつ、一の運行における休息期間が住所地以外の場所におけるものである場合、1週2回に限り最大拘束時間を16時間とできる
最大拘束時間まで延長する場合も、1日14時間超えの回数(注1)をできるだけ少なくするよう努める
 (注1)通達において、「1週間について2回以内」を目安として示される見通しです。

【休息期間】
・継続11時間を基本とし、9時間下限。
1週間における運行がすべて長距離貨物運送であり、かつ、一の運行における休息期間が住所地以外の場所におけるものである場合、1週2回に限り、継続8時間以上とできる。この場合、一の運行終了後に継続12時間以上の休息期間を与えるものとする

【運転時間】 
・2日平均で1日当たり9時間
・2週平均で1週間当たり44時間

【連続運転時間】
・4時間以内
ただし、SA、PA等に駐停車できず4時間を超える場合には30分まで延長可
運転の中断は、原則休憩とする
通達において、連続運転時間の「概ね連続10分以上」とは、例えば、10分未満の運転の中断が3回以上連続しないこと等を示す

【休息期間の分割の特例】
・勤務終了後、継続9時間以上(注2)の休息期間を与えることが困難な場合、当分の間、一定期間(1カ月程度が限度)における全勤務回数の2分の1を限度に休息期間
を拘束時間の途中および拘束時間の経過直後に分割して与えることができる(2分割に限らず、3分割も認められるが、3分割された休息期間は1日合計12時間以上でなければならず、休息期間が3分割される日が連続しないよう努める)。この場合、分割された休息期間は1日に1回当たり継続3時間以上、合計10時間以上でなければならない。
 (注2)長距離貨物運送に従事する自動車運転者であって、1週間における運行がすべて長距離貨物運送であり、かつ、一の運行における休息期間が住所地以外の場所におけるものである場合は継続8時間以上

【2人乗務の特例】
・最大拘束時間を20時間まで延長可。
・休息期間は4時間まで短縮可。
要件を満たす車両ベッド等がある場合、拘束時間を24時間まで延長可
要件を満たす車両ベッド等があり、8時間以上の仮眠時間を与える場合、拘束時間を28時間まで延長可

【隔日勤務の特例】
・2暦日における拘束時間は21時間を超えないものとする。ただし、事業場内仮眠施設等で夜間に4時間以上の仮眠時間を与える場合には、2週間に3回を限度に、2暦日における拘束時間を24時間まで延長可能。この場合も2週間における総拘束時間は126時間(21時間×6勤務)を超えることができない。
・勤務終了後、継続20時間以上の休息期間を与えなければならない。

【フェリー乗船の特例】
・乗船時間は、原則として休息期間として取り扱う。
・休息期間の時間からフェリー乗船中の休息期間を減ずることができるが、減算後の休息期間はフェリー下船時刻から勤務終了時刻までの間の時間の2分の1を下回ってはならない。

【休日労働】
・2週間に1回以内、かつ、1か月の拘束時間および最大拘束時間の範囲内


また、事故、故障、災害等、通常予期し得ない事象に遭遇し、一定の遅延が生じた場合の取扱いが新設され、次の内容となっています。

【予期し得ない事象に遭遇した場合について】
・客観的な記録が認められる場合に限り、1日の拘束時間、運転時間(2日平均)、連続運転時間の規制の適用にあたっては、その対応に要した時間を除くことができる
・勤務終了後の休息期間は、継続11時間以上与えるよう努めることを基本とし、継続9時間を下回らないものとする。

既にハイヤー・タクシー、バスの見直しについては3月29日に中間とりまとめが公表されており、今後は、トラックに関する検討を踏まえて最終的な報告書をとりまとめ、令和4年12月頃改善基準告示が改正された後、令和6年4月より施行される見通しです。