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「経済財政運営と改革の基本方針 2022(仮称)」の原案が示されました(2022/6/2)

5月31日、令和4年第7回経済財政諮問会議が開催され、「経済財政運営と改革の基本方針 2022(仮称)」の原案が示されました。

次のような構成となっています。

第1章 我が国を取り巻く環境変化と日本経済
第2章 新しい資本主義に向けた改革
第3章 内外の環境変化への対応
第4章 中長期の経済財政運営
第5章 当面の経済財政運営と令和5年度予算編成に向けた考え方

ここでは、企業実務や社会保障制度に関する内容が示されている第2~4章から主なものを取り上げます。

【人的資本投資、多様な働き方の推進】
・「人への投資」を抜本的に強化するため、2024 年度までの3年間に4,000 億円規模の予算を投入する施策パッケージを講じ、働く人が自らの意思でスキルアップし、デジタルなど成長分野へ移動できるよう強力に支援する。
・企業統治改革を進め、人的投資が企業の持続的な価値創造の基盤である点について株主との共通の理解をつくり、今年中に非財務情報の開示ルールを策定するとともに、四半期開示の見直しを行い、男女の賃金格差の是正に向けて企業の開示ルールの見直しにも取り組む。
・働く人のエンゲージメントと生産性を高めていくことを目指して多様な働き方を進め、下記のような取組みを通じて働く人の個々のニーズに基づいてジョブ型の雇用形態をはじめ多様な働き方を選択でき、活躍できる環境の整備に取り組む。
 → 就業場所・業務の変更の範囲の明示など、労働契約関係の明確化
   専門知識・技能を持った新卒学生や既卒数年程度の若者の就職・採用方法を検討し、年度内を目途に一定の方向性を得る
   裁量労働制を含めた労働時間制度の在り方について、裁量労働制の実態調査の結果やデジタル化による働き方の変化等を踏まえ、さらなる検討を進める
   事業者がフリーランスと取引する際の契約の明確化を図る法整備や相談体制の充実など、フリーランスが安心して働ける環境の整備
   時間や場所を有効に活用できる良質なテレワークの促進
   副業・兼業を推進するほか、選択的週休3日制度について、好事例の収集・提供等により企業における導入を促進し、普及を図る
   労働者協同組合についてNPO等からの円滑な移行等を図る
・雇用調整助成金の特例措置等は、雇用情勢を見極めながら段階的に縮減していく一方で、人への投資や強力な就職支援を通じて円滑な労働移動を図り、成長分野等における労働需要に対応する。あわせて、同一労働同一賃金の徹底等を通じた非正規雇用労働者の処遇改善や正規化に取り組む。

【女性活躍】
・男女間の女性活躍の解消に向けて大企業に男女間の賃金格差の開示を義務付けるとともに、「女性デジタル人材育成プラン」を着実に実行する。
・同一労働同一賃金を徹底し、女性が多い非正規雇用労働者の待遇を改善する。女性の視点も踏まえた社会保障制度や税制等の検討を進める。
・テレワーク等の多様な働き方を後退させず、男性の育児休業取得促進や長時間労働の是正等働き方改革の着実な実施、男性が子育てに参画しやすくなるための環境整備等男性の家庭・地域における活躍を進める。

【全世代型社会保障の構築】
・給付は高齢者中心、負担は現役世代中心というこれまでの社会保障の構造を見直し、能力に応じて皆が支え合うことを基本としながら、それぞれの人生のステージに応じて必要な保障をバランス良く確保する。
・後期高齢者医療制度の保険料賦課限度額の引上げを含む保険料負担の在り方等各種保険制度における負担能力に応じた負担の在り方等の総合的な検討を進める。
・男性や非正規雇用労働者の育児休業取得促進や子育て支援に取り組み、子育て・若者世代が仕事と子育てを両立できる環境を整備するために必要なさらなる対応策について、国民的な議論を進める。
・勤労者皆保険の実現に向けて、被用者保険の適用拡大の着実な実施や企業規模要件の撤廃・非適用業種の見直しの検討、フリーランス・ギグワーカーへの社会保険適用について被用者性の捉え方等の検討を進める。