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ハイヤー・タクシーおよびバス運転手の改善基準告示の見直し案のとりまとめが示されました(前半)(2022/3/30)

3月29日、労働政策審議会労働条件分科会自動車運転者労働時間等専門委員会は、令和元年12月から検討を重ねてきた自動車運転者の改善基準告示の見直しについて、ハイヤー・タクシー作業部会およびバス作業部会の検討結果をとりまとめたものを、「中間とりまとめ」として公表しました。

今後は、令和4年7月頃まで予定されているトラック作業部会の検討状況を踏まえ、最終的な報告書がとりまとめられたのち、改善基準告示の改正(令和4年12月頃)を経て令和6年4月より施行される見通しです。

見直し案は、令和6年4月から自動車運転業務に関する時間外労働の上限が年960時間となること、また令和3年の脳・心臓疾患に係る労災認定基準改正で勤務間インターバルが短い勤務も評価対象に加えられたことを踏まえ、下記のような内容となっています。

ここではハイヤー・タクシーの主な見直し案を確認することとし、3月31日分にてバス運転手の見直し案を確認します(下線部分が現行と変わる部分です)。

【ハイヤー・タクシー】
1カ月の拘束時間
288時間を超えないものとする。
・隔日勤務に就くものの1カ月の拘束時間は262時間を超えないものとし、地域的事情その他の特別な事情がある場合において、労使協定により、年間6カ月まで、1カ月の拘束時間を270時間まで延長することができる。

1日および2暦日の拘束時間、休息期間
・1日の拘束時間は13時間を超えないものとし、延長する場合も1日の最大拘束時間は15時間とする。この場合において、1日の拘束時間が14時間を超える回数(注1)をできるだけ少なくするよう努めるものとする
・休息期間は、勤務終了後、継続11時間以上与えるよう努めることを基本とし、継続9時間を下回らないものとする
 (注1)通達において「1週間について3回以内」を目安として示すこととされています

隔日勤務に就くものの2暦日の拘束時間、休息期間
・2暦日の拘束時間は22時間を超えないものとし、2回の隔日勤務(始業および終業の時刻が同一の日に属しない業務)を平均し隔日勤務1回当たり21時間を超えないものとする
・勤務終了後、継続24時間以上の休息期間を与えるよう努めることを基本とし、継続22時間を下回らないものとする

車庫待ち等の自動車運転者の拘束時間、休息期間
・労使協定により、1カ月の拘束時間を300時間まで延長することができることとする。
・車庫待ち等の自動車運転者とは、常態として車庫待ち、駅待ち形態によって就労する自動車運転者であり、就労形態について所定の基準を満たす場合には、車庫待ち等に該当するものとして取り扱って差し支えないこととする。
・車庫待ち等の自動車運転者については、要件を満たす場合、1日の拘束時間を24時間まで延長することができる。

車庫待ち等の自動車運転者で隔日勤務に就くものの拘束時間、休息期間
・労使協定により、1カ月の拘束時間を270時間まで延長することができる。
・要件を満たす場合、1カ月の拘束時間は上記の時間に10時間を加えた時間まで、2暦日の拘束時間は24時間まで延長できることとする。

予期し得ない事象に遭遇した場合の拘束時間、休息期間
事故、故障、災害等、通常予期し得ない事象に遭遇し、一定の遅延が生じた場合には、客観的な記録が認められる場合に限り、1日または2暦日の拘束時間の規制の適用にあたっては、その対応に要した時間を除くことができる
ただし、対応に要した時間を含めて算出した時間が1日または2暦日の拘束時間の限度を超えた場合には、勤務終了後、1日の勤務の場合には継続11時間以上、2暦日の勤務の場合には継続24時間以上の休息期間を与えるものとする

休日労働
・2週間について1回を超えないものとし、当該休日労働によって上記に定める拘束時間の限度を超えないものとする。

ハイヤーに乗務する自動車運転者の時間外労働協定の延長時間、休息期間
時間外労働協定の延長時間は、1カ月45時間、1年360時間を限度とし、臨時的特別な事情がある場合であっても、1年について960時間を超えないものとし、労働時間を延長することができる時間数または労働させることができる休日の時間数をできる限り少なくするよう努めるものとする
必要な睡眠時間が確保できるよう、勤務終了後に一定の休息期間を与えるものとする