令和8年度厚生労働省予算概算要求に関する資料が公表されました(2025/9/2)
8月29日、厚生労働省は、令和8年度厚生労働省予算概算要求に関する資料を公表しました。
柱として重点的な要求が行われているのは、次の3つです。
Ⅰ 社会の構造変化に対応した保健・医療・介護の構築
Ⅱ 物価上昇を上回る賃上げの普及・定着に向けた三位一体の労働市場改革の推進と多様な人材の活躍促進
Ⅲ 包摂的な地域共生社会等の実現
人事労務分野に関する施策が多く盛り込まれている上記Ⅱでは、次の5項目が示されています。
●賃上げ支援、非正規雇用労働者への支援
●リ・スキリング、ジョブ型人事、労働移動の円滑化の推進
●人材確保の支援
●多様な人材の活躍促進と職場環境改善に向けた取組等
●女性の活躍促進
賃上げに関しては、助成金パッケージが組まれて取組みが進められているところ、資料によれば関連助成金8つのうち6つについて、次のような拡充を図るとされています。
●業務改善助成金
→ 賃金引上げ額を3コース制に再編等、地域別最低賃金改定日の前日までの一定の時期については、事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額を地域の実情に応じた特例措置を講じる
●働き方改革推進支援助成金
→ 小規模の企業における賃上げ支援を強化するため、対象労働者の現行の賃金額を5%または7%増加させた場合の加算額を拡充
●人材開発支援助成金
→ 訓練終了後、労働者が訓練によって得た知識及び技能を活用し生産性向上を図ることのできる機器・設備等を購入した場合に助成(中小企業のみ対象)
●人材確保等支援助成金(雇用管理制度・雇用環境整備助成コース)
→ 対象労働者の賃金を5%以上増加させた場合の加算に加え、雇用管理に困難を抱える事業所が対象労働者の賃金を3%以上増加させた場合の加算を新設
●キャリアアップ助成金(正社員化コース)
→ 正社員化コースにつき、非正規雇用労働者に係る情報開示を新たに行った場合の加算措置を創設
●早期再就職支援等助成金(中途採用拡大コース)
→ 中途採用を拡大し、雇入れた中途採用者の賃金を、雇入れ前の賃金と比較して5%以上上昇させた場合に助成するほか、生産性の向上や会社全体の賃金の底上げに取り組む場合に加算措置を実施
また、人材確保や職場環境改善に向けた施策のうち、社会保険労務士の関わりが想定されているものは下記です。
●医療従事者勤務環境改善推進事業【拡充】
→ 医師・看護職等の医療スタッフの離職防止や医療安全の確保等を図るため、医療法に基づき、各都道府県に設置されている医療勤務環境改善支援センターが支援を行う各医療機関の勤務環境の改善に向けた取組や、医師の働き方改革関連制度への対応等の方向性を整理した上で、社会保険労務士、医業経営コンサルタントなど労務管理面でのアドバイザーを配置する
●介護職員処遇改善加算等の取得促進事業【拡充】
→ 介護職員等処遇改善加算について、加算未取得事業所の新規加算取得や加算既取得事業所のより上位区分の取得の促進を引き続き強力に進めるため、専門的な相談員(社会保険労務士など)によるオンライン個別相談窓口の設置等により、介護サービス事業所等に対する個別の助言・指導等の支援を行う
●生活衛生関係営業経営支援事業【新規】
→ 生活衛生関係営業者の経営状況を改善して地域活性化を図るため、専門家(中小企業診断士、行政書士、社会保険労務士、税理士、地域デジタル相談員などを想定)による多様な現場のニーズに応じた伴走型の支援((経営診断、省エネ指導、補助金活用支援、税制相談等)を実施する
●生活衛生関係営業収益力向上事業(生衛業『稼ぐ力』応援チーム)
→ 生活衛生関係営業に対して、最低賃金の周知啓発を行うとともに、賃金引上げや人材確保等に向けた生産性向上の取組による収益力の向上や、人材育成・後継者育成等に関するセミナーの開催を行う
→ 地域の社会保険労務士会センター等が要請を受けて講師・相談員の派遣を行い、生活衛生関係営業に対してセミナー等を実施することにより、生活衛生関係営業者の収益力の向上等を図る
≪ 65歳超雇用推進助成金のe-Gov電子申請に関する説明動画が掲載されています | 「令和7年分 年末調整のしかた」が公表されています ≫