「令和7年度税制改正(基礎控除の見直し等関係)Q&A」が公表されています(2025/6/2)
5月30日、国税庁は、「令和7年度税制改正(基礎控除の見直し等関係)Q&A」を公表しました。
次のような問が収録されています。
【改正の概要】
●1-10 令和7年12月1日以後の扶養親族等の所得要件
Q 1-7から1-9の扶養親族等の所得要件の改正については、令和7年12月1日に施行され、令和7年分以後の所得税について適用されるとのことですが、令和7年の給与及び公的年金等の源泉徴収事務は、いつから変更されるのでしょうか。
A 令和7年11月までの給与及び公的年金等の源泉徴収事務に変更は生じません。
令和7年分の給与の源泉徴収事務においては、令和7年12月1日以後に支払う給与から扶養親族等の所得要件の改正が適用され(この改正により扶養親族等の要件を満たすこととなった親族等に係る扶養控除等の適用を受けるために扶養控除等申告書などの提出が必要となります。)、令和7年12月に行う年末調整の際にも、この改正が適用されます。
一方、公的年金等の源泉徴収事務においては、扶養親族等申告書の申告内容に変更があった場合に生じる所得税の過不足は、公的年金等の受給者が確定申告を行うことにより精算することができます。
そのため、公的年金等の受給者が、令和7年分の所得税について、この改正により扶養親族等の要件を満たすこととなった親族に係る扶養控除等の適用を受けようとする場合にも、原則として、確定申告をする必要があります。
●1-12 令和7年12月1日以後居住者として給与の支払を受けていない人
Q 令和7年中に死亡により退職した人及び年の中途で海外の支店等への転勤などにより非居住者となった人などで、居住者として最後に給与の支払を受けた日が、令和7年 11 月 30 日以前である人の年末調整においては、令和7年度税制改正による改正後の「基礎控除」、「年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」、「特定親族特別控除」及び「扶養親族等の所得要件」は適用されないのですか。
A 令和7年12月1日以後に行う年末調整においては、令和7年度税制改正による改正後の「基礎控除」、「年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」、「特定親族特別控除」及び「扶養親族等の所得要件」(以下「改正後の控除等」といいます。)が適用されることになります。
一方で、年末調整は、給与の支払者がその年最後に給与の支払をする際に行うこととされていますので、ご質問のように、令和7年分の最後の給与を令和7年11月30日以前に支払った場合の年末調整においては、改正後の控除等は適用されません。
このため、その給与の支払を受けた人が改正後の控除等の適用を受けるためには、確定申告等をする必要があります(注)。
(注) 具体的な適用方法は、下記「7-4 令和7年11月30日以前に海外勤務のため国外転出する場合の基礎控除等の具体的な適用方法」をご確認ください。
【令和7年分年末調整関係書類の記載事項】
●2-1 扶養控除等申告書の記載事項
Q 当社では、年末調整に際し、既に提出されている扶養控除等申告書を従業員に返却し、各人が申告書に記載した事項に異動がないか、申告漏れとなっている事項がないか再度確認することにしています。
令和7年12月から扶養親族等の所得要件が改正されますが、令和7年分扶養控除等申告書に記載する事項に変更はありますか。
A 令和7年分の扶養控除等申告書に記載する事項に変更はありません。
ただし、令和7年12月1日から給与所得控除額及び扶養親族等の所得要件が改正されます。
この改正により、例えば、新たに扶養控除等の対象となる扶養親族等を有することとなった従業員は、その旨を記載した扶養控除等申告書を、給与の支払者に提出することとなります。
なお、この改正により新たに扶養控除等の対象となる扶養親族等を扶養控除等申告書に記載する際には、扶養控除等申告書の「異動月日及び事由」欄に「令和7年12月1日 改正」などと記載してください。
(注) 令和7年11月30日以前に支払う給与については、「源泉徴収税額表」を使用する際の「扶養親族等の数」に、この改正により新たに扶養控除等の対象となる扶養親族等を含めないようご注意ください。
また、従業員は、この申告書を、原則として令和7年12月1日以後最初に給与の支払を受ける日の前日までに提出することとなりますが、年末調整を行う時までに申告書の提出があれば、その申告に基づいて年末調整を行うことができます。
(注) 令和7年分の扶養控除等申告書の様式裏面の注意事項等が改正前の内容となっている場合がありますのでご注意ください。
【特定親族特別申告書】
●3-7 特定親族特別控除の適用を受けられない場合
Q 2人以上の居住者の特定親族に該当する親族がいる場合などで、特定親族特別控除の適用が受けられないことがありますか。
A 以下のように、特定親族特別控除の適用を受けられないことがあります。
① 2人以上の居住者の特定親族に該当する親族がいる場合には、その親族は、これらの居住者のうちいずれか1人の特定親族にのみ該当するものとみなされます。
② 居住者の特定親族に該当する親族が他の居住者の配偶者特別控除の対象となる配偶者にも該当する場合には、その親族は、これらの居住者のうちいずれか1人の特定親族又は配偶者特別控除の対象となる配偶者にのみ該当するものとみなされます。
③ 親族の双方がお互いに適用を受けることや、この控除の適用を受けている親族を特定親族として適用を受けることはできません。
【令和7年分年末調整における年税額の計算】
●4-2 特定親族特別控除額の源泉徴収簿への記載
Q 特定親族特別控除申告書に記載されている特定親族特別控除額は、源泉徴収簿のどの欄に記載するのですか。
A 【令和7年分】
令和6年9月から国税庁ホームページに掲載している「令和7年分給与所得に対する源泉徴収簿」右側の「年末調整」欄は、特定親族特別控除の適用がある場合の計算に対応していません。このため、特定親族特別控除の適用がある場合で、この源泉徴収簿を使用するときは、源泉徴収簿の余白に「特定親族特別控除額(⑰-2)〔 XXX,XXX 円〕」と記載するなどしてください。
また「令和7年分給与所得に対する源泉徴収簿」の「所得控除額の合計額⑳」欄には、余白に記載した特定親族特別控除額を含めた金額を記載してください。
●4-3 源泉徴収票の改正
Q 「令和7年分給与所得の源泉徴収票」は、昨年までのものから改正されるのですか。
A 特定親族特別控除の創設に伴い、令和7年12月以後の「給与所得の源泉徴収票」が改正されました。特定親族特別控除の適用がある場合には、給与所得の源泉徴収票に特定親族特別控除額等を記載してください。
(注) 改正後の給与所得の源泉徴収票は、令和7年中に支払うべき給与でその最後の支払日が令和7年12月1日以後であるものから使用することとなります。
なお、改正後の様式は、国税庁ホームページに令和7年6月末頃に掲載予定です。
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