お知らせ

「規制改革推進に関する答申(案)」が示されました(2025/5/29)

5月28日、第23回規制改革推進会議が開催され、昨秋以降の議論を取りまとめた「規制改革推進に関する答申(案)」が示されました。

地方創生、賃金向上・人手不足対応、投資大国、防災・減災の4本柱となっていて、「賃金向上・人手不足対応」に関して、答申案概要では次の11項目が示されています(※印は昨年末の中間答申案の時点ではなかったもの)。

地域の実情に応じた介護サービス提供体制等の見直し(7年度検討開始等)※
障害福祉分野における申請・届出等に関する手続負担の軽減(システム化・ワンストップ化を9年度中目途に措置等)
スタートアップの柔軟な働き方の推進(7年度検討開始等)※
副業・兼業の更なる円滑化に向けた環境整備(7年度検討・結論、措置等)※
時間単位の年次有給休暇制度の見直し(7年度結論)※
職業紹介責任者の専任規制の見直し(7年度末を目途に結論等)※
高卒就職者に対する求人情報の直接提供等(7年度検討・結論等)
外国語指導に従事する外国人材の更なる活躍促進(7年度検討・結論等)※
水道スマートメーターの導入促進(7年度着手等)※
デジタル・AI技術を活用した建設機械の安全義務および技能要件の在り方について(7年検討開始、結論を得次第速やかに措置等)※
不動産売買仲介におけるデジタル・AI活用促進(7年度検討開始等)※

答申案本文では、次の4つのカテゴリに分けて上記以外の項目を含む24項目が示されています。

 健康・医療・介護
 働き方・人への投資
 スタートアップ・イノベーション促進
 デジタル・AI

ここでは、上記の項目に関して、主な実施内容とともに紹介します。

スタートアップの柔軟な働き方の推進(裁量労働制の対象業務の検討等)
 → スタートアップで働く労働者が希望する働き方等を把握するための調査を行った上でその結果を踏まえ、裁量労働制の適正な活用等、柔軟な働き方に資する検討を開始する
 → スタートアップにおける役職者等の実態や課題等を把握した上で、役職者等(部下を持たない場合を含む)の管理監督者への該当性の判断の考え方のさらなる明確化について検討し、結論を得次第、必要な措置を講ずる

副業・兼業のさらなる円滑化に向けた環境整備
 → 労働基準関係法制研究会の報告書(令和7年1月公表)において、労働者の健康確保のための労働時間の通算は維持しつつ、割増賃金の支払いについては通算を要しないよう制度改正に取り組むことが考えられるとされたことを踏まえつつ、労働政策審議会において検討し、結論を得る。当該結論を得次第、その結果に基づき、所要の措置を講ずる
 → 検討にあたっては、副業・兼業は一般に使用者の命令ではなく労働者の自発的な選択・判断により行われるものであることおよび健康確保のための措置が企業や労働者にとって過度な負担とならないことに留意する
 → 厚生労働省は、「副業・兼業の促進に関するガイドライン」および「副業・兼業の促進に関するガイドラインのわかりやすい解説」において、管理モデル導入に関する誤認が生じないよう、以下の内容について留意点を明確化し、周知する
   ・副業・兼業における労働時間管理を管理モデルによって行うことについて、労働者と本業先使用者、労働者と副業先使用者の間で、それぞれ合意すれば足りること
   ・本業先における管理モデルの利用に際し、副業先が一定条件を遵守することを条件としないこと

時間単位の年次有給休暇制度の見直し
 → 時間単位年休の上限を、例えば年次有給休暇の付与日数の 50%程度に緩和することなどの見直しの要否も含め、労働政策審議会において検討し、結論を得る

職業紹介責任者の専任規制の見直し
 → 職業紹介事業者の柔軟な人員配置等の障壁となっているとの指摘を踏まえ、職業紹介サービスの質の確保を前提とした上で、デジタル技術を徹底活用すること等により一定の要件を満たす場合には職業紹介責任者に複数事業所を兼任させることを可能とする方向で見直しを検討し、労働政策審議会で結論を得次第、速やかに必要な措置を行う

有料職業紹介事業における取扱職種等事項の明示に関する事務負担軽減
 → 例えば、オンラインで職業紹介サービスの利用の申込みをする求人者および求職者に対しては、申込みと併せて説明手段の希望を把握することが可能である旨等について、具体例を交えて解釈を明確化した上で、広く周知する

職業紹介事業および労働者派遣事業の事業報告に係る事務負担の軽減等
 → e-Govを利用したオンライン提出を可能とすること等、職業紹介事業者および派遣元事業主が事業報告書を提出する際の負担軽減策を検討し、結論を得次第、速やかに必要な措置を講ずる

行政手続事務負担軽減および生産性向上に資する外国人雇用状況の一括届出
 → 事業主が本社等で各事業所に関する雇用情報の一元的な管理を行う場合において、オンラインによる一括届出が可能となるよう、外国人雇用状況届出システムの改修等を検討し、結論を得た上で、令和9年度までに所要の措置を講ずる

在留資格「特定技能」における在籍型出向の実現
 → 親子会社間等において例外的に複数の特定技能所属機関との雇用に関する契約が許容された措置を踏まえ、各特定産業分野において、当該措置の必要性を検討し、結論を得次第、特定技能に関する基本方針の見直しなどにより令和7年度中に必要な措置を講ずる

高卒就職者に対する求人情報の直接提供等
 → 高卒就職者向けの求人情報が教師および生徒にのみ開示されている仕組みを変更し、広く一般に公開することについて検討し、結論を得る
 → 高卒就職者求人申込みについて、民間の職業紹介事業者が求人情報提供サービスに参画できるよう制度および例えばAPI連携等の情報システムの構築等について検討し、結論を得た上で所要の措置を講ずる
 → 求人票の公開時期(毎年7月1日)を例えば1~2カ月前倒しすることについて検討し、結論を得次第速やかに必要な措置を講ずる

外国語指導に従事する外国人材のさらなる活躍促進
 → 在留資格「教育」を有する外国人で外国語指導助手(ALT:Assistant Language Teacher)として活動している外国人(令和6年末時点で約15,000人)のうち、民間事業者に雇用されるALTが現に有している在留資格「教
育」に属さない語学指導等を行う際、地方公共団体等に雇用されるALTと同様に包括許可を与えることを含め、在留資格「教育」を有する外国人に対する資格外活動許可の在り方を見直すべく検討を行い、結論を得次第、速やかに必要な措置を講ずる

実践的なデジタル人材育成を実現するための教育課程等に係る特例制度の審査基準の明確化
 → 大学の教育課程に関する特例制度において、教育水準の向上に資する先導的な取組みであれば、オンデマンド型の授業であっても、特例の対象とすることが可能である旨を解説資料に明記すること等について、令和7年度中を目途に所要の措置を講ずる