「社会保障審議会企業年金・個人年金部会における議論の整理」が公表されています(2025/1/9)
12月27日、社会保障審議会企業年金・個人年金部会は「社会保障審議会企業年金・個人年金部会における議論の整理」を公表しました。
主な内容は、下記のとおりです。
●iDeCo加入可能年齢の上限の引上げ
→ 現在の要件である国民年金被保険者に加え、公的年金への保険料を納めつつ、上乗せとしての私的年金に加入してきた者が、引き続き老後の資産形成を継続できるよう、60歳から70歳までのiDeCoを活用した老後の資産形成を継続しようとする者(具体的には①iDeCoの加入者・運用指図者であった者および②企業型DC等の私的年金の資産をiDeCoに移換する者)であって、老齢基礎年金やiDeCoの老齢給付金を受給していない者にiDeCoの加入・継続拠出を認めることとすべき
●iDeCo受給開始可能年齢の上限の引上げ
→ 引き続き75歳とし、令和9年4月以降の70歳以降で受給を開始する者の状況等を見極めた上で、受給開始可能年齢をさらに引き上げるのかどうかについて丁寧に議論していくべき
●iDeCoの拠出限度額
→ iDeCoの第2号被保険者の拠出限度額について、企業年金がない場合や、事業主掛金が少ない場合であっても、企業年金と合わせた共通の拠出限度額まで拠出できるよう、見直しを行う
→ iDeCoの拠出限度額について、企業型DCの拠出限度額と合わせ、経済・社会情勢の変化を踏まえた見直しを行うべき
●企業型DCの拠出限度額
→ 企業型DCの拠出限度額について、賃金の上昇等の経済・社会情勢の変化を踏まえた見直しを行うべき
→ 企業型DCのマッチング拠出について、事業主掛金額を超えられないとする制限を見直す必要がある
●簡易型DC制度
→ 2018年の創設後、利用実績がなく、中小企業のニーズに合致していなかったと考えられるため、簡易型DCで適用されていた手続きの簡素化のうち、一部については通常の企業型DCに適用することで、通常の企業型DCについて中小企業を含めた事業主全体が取り組みやすい設計に改善し、簡易型DCについては、通常の企業型DCに統合すべき
●中小事業主掛金納付制度(iDeCo+)
→ 実施できる中小事業主の範囲については、引き続き300人以下とすることとし、普及促進や加入者の増加に取り組むべき
→ iDeCo+とDBとの併用に関しては、慎重に検討を行うべき
●総合型DC
→ 法令上の定義はないが、業務・資本金等の密接な関係を有していない複数の事業所が共同して企業型DCを実施する、いわゆる「総合型DC」について、総合型DBの規定を参考に、制度上位置付け、実態を把握するべき
→ ルールの整備、運用商品の選定、モニタリング、継続投資教育の実施等に係る取組みの改善方策についても、引き続き検討を行うべき
●DBの制度設計
→ 定年延長等に伴う給付設計の変更については、引き続き給付減額に係る現行の判定基準を原則としつつ、給付の名目額が増加する等の一定の要件を満たす場合であって、DBの給付設計を変更することについて対象加入者の3分の2以上で組織する労働組合の合意がある場合には、例外的に「給付減額」として取り扱わないこととするべき
●いわゆる選択制DB・選択制DC
→ いわゆる選択制DBにおいて、DCと同様、事業主が従業員に社会保険・雇用保険等の給付額への影響等を説明するよう、DBの法令解釈通知に追記すべき
→ その上で、障害年金や遺族年金を含む社会保険制度における給付に影響を及ぼすことについて、労使協議や導入時・加入時に、従業員に対して正確な説明が行われるよう、取組みを進める
●自動移換
→ 事業主が取るべき対応として、企業型DCの加入者資格を喪失する前から資格喪失時にかけて、資格喪失時に取るべき対応に係る説明を実施することや、企業型DCの全加入者に対する資格喪失時の個人別管理資産の移換の手続き等に関する継続的な説明を実施することとすべき
●DCの脱退一時金
→ 公的年金の脱退一時金の見直しの状況や実務も踏まえ、通算拠出期間について5年から8年へ引き上げる等、見直すべき
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