お知らせ

「働き方の多様化を踏まえた被用者保険の適用の在り方に関する懇談会」の議論のとりまとめ(案)が示されました(2024/7/2)

7月1日、第8回働き方の多様化を踏まえた被用者保険の適用の在り方に関する懇談会が開催され、議論のとりまとめ(案)が示されました。

次のような内容となっています。

被用者保険の適用に関する基本的な視点
 (1)被用者にふさわしい保障の実現
  → 老後の保障や万が一の場合に備えたセーフティネットを拡充する観点からも、被用者保険の適用拡大を進めることが重要

 (2)働き方に中立的な制度の構築
  → 中立的な制度を構築していく観点は重要
  → 制度の仕組みをわかりやすく発信していくことが必要

 (3)事業所への配慮等
  → 必要な支援を講じる等、円滑な適用を進められる環境整備が必要
  → 保険者や日本年金機構の事務負担が増加する点にも留意が必要
  → 被保険者等の構造の変化や財政等への影響を示した上で、保健事業の円滑な実施など保険者機能を確保する視点も含め、医療保険制度の在り方についても着実に議論を進める必要がある

短時間労働者に対する被用者保険の適用範囲の在り方
 (1)労働時間要件
  → 雇用保険の適用拡大の施行状況等も慎重に見極めながら検討を行う必要がある

 (2)賃金要件
  → 労働時間要件の引下げの検討で指摘された論点と同様の側面があり、最低賃金の引上げに伴い労働時間要件を満たせば本要件を満たす場合が増えてきていることから、こうした点も踏まえて検討を行う必要がある
 → 被用者保険の被扶養者の収入基準も引き下げる必要性が指摘されたほか、健康保険法における標準報酬月額の下限について、見直しを行う必要性が指摘された

 (3)学生除外要件
  → 現状維持が望ましい

 (4)企業規模要件
  → 他の要件に優先して、撤廃の方向で検討を進めるべき
  → あわせて、必要な配慮措置や支援策の在り方について検討を行うことが必要

個人事業所に係る被用者保険の適用範囲の在り方
 → 常時5人以上を使用する個人事業所における非適用業種については、5人未満の個人事業所への適用の是非の検討に優先して、解消の方向で検討を進めるべき
 → 事務負担や経営への影響、保険者の財政や運営への影響等に留意し、必要な配慮措置や支援策の在り方について検討を行うことが必要

多様な働き方を踏まえた被用者保険の在り方
 (2)複数の事業所で勤務する者
  → 労働時間等を合算する是非は、マイナンバーの活用状況や雇用保険の施行状況等を参考に、中長期的な視点を持って、実務における実行可能性を含め、検討する必要がある
  → 足もとでは、現行の事務手続きを合理化し、事務負担軽減が図られるよう具体的な検討を進めるべき

 (3)フリーランス等
  → 業務委託契約でありながら実態としては被用者と同様の働き方をしている者は、本来被用者保険が適用されるべき者で、「被用者保険の更なる適用促進に向けた労働行政及び社会保険行政の連携に当たって留意すべき事項について」(令和5年3月31日年管管発0331第7号)、「被用者保険の更なる適用促進に向けた労働行政及び社会保険行政の連携に当たって留意すべき事項について」(令和5年3月31日基発0331第52号・年管発0331第5号厚生労働省労働基準局長・大臣官房年金管理審議官連名通知)により、労働基準監督署において労働者であると判断した事案について、日本年金機構が情報提供を受け、その情報を基に適用要件に該当するか調査を行うことができる環境が整備されたことから、適用が確実なものをなるよう、労働行政との連携を強化しており、その運用に着実に取り組んでいくべき
  → 従来の自営業者に近い、自律した働き方を行っているケースについては、諸外国の動向等を注視しつつ、中長期的な課題として引き続き検討していく必要がある