新しい資本主義実行計画の改訂案が取りまとめられました(2024/6/14)
6月7日、第28回新しい資本主義実現会議が開催され、新しい資本主義実行計画の改訂案が取りまとめられました。11の大項目で構成され、労務関連の項目は主に次の2つに含まれています。
Ⅱ 中小・小規模企業等で働く労働者の賃上げ定着
Ⅲ 三位一体の労働市場改革の早期実行
具体的な内容は、次のとおりです。
【中小・小規模企業等で働く労働者の賃上げ定着】
1 価格転嫁の商習慣化の徹底と中小・小規模企業の省力化投資の加速
(1)労務費等の価格転嫁の推進
・労務費転嫁指針の更なる周知(重点22業種での自主行動計画の策定等)
・独占禁止法に基づく労務費転嫁指針の遵守の徹底
・下請代金法違反行為への厳正な対処
・地方版政労使会議の開催
・消費者に対する理解促進
(2)人手不足下での労働生産性向上のための中小・小規模企業の省力化投資
・運輸業、宿泊業、飲食業をはじめとした人手不足感の強い業種でのAI/ロボット等の自動化技術の利用拡大
・各産業の自動化技術を用いる現場労働者の育成に向けたリ・スキリング
・中小・小規模企業に対する自動化技術等の省力化投資に対する集中的支援
・資格職等における分業の推進等を通じた人手不足業種への対応
(3)大企業と中小・小規模企業・スタートアップの間の協力関係の確立
・スタートアップ株の保有促進
・知的財産権等の現物出資規制への対応
・秘密保持契約・ライセンス契約の適正化
・知的財産の侵害抑止
・副業・兼業における割増賃金の支払いに係る労働時間の通算管理の見直し
・地域企業経営人材マッチング促進事業を通じたマッチングの推進
・産業雇用安定センターの活用
2 非正規雇用労働者の処遇改善
(1)最低賃金の引上げ
(2)非正規雇用労働者に対する同一労働・同一賃金制の施行強化
(3)非正規雇用労働者の正規化支援強化
(4)年収の壁への対応
【三位一体の労働市場改革の早期実行 】
(1)個々の企業の実態に応じたジョブ型人事の導入
・ジョブ型人事指針の策定
・個々の企業の実態に応じた役職定年・定年制の見直し
・スタートアップ等に関する裁量労働制等の運用明確化
・解雇無効時の金銭救済制度の検討
(2)労働移動の円滑化
・現場人材等の評価制度の構築とスキル取得支援
・官民の求人・求職情報の共有化によるキャリアコンサルティング機能の強化
・失業給付制度の見直し
・情報インフラ整備とデジタルスキル情報の蓄積・可視化
(3)リ・スキリングによる能力向上支援
・先進的な取組みの横展開
・雇用調整助成金の見直し
・リ・スキリングのプラットフォームの構築
(4)労働市場改革の関連事項
・外国人労働者との共生推進
・フリーランスの取引適正化
・女性活躍推進法の開示義務化のフォローアップ
・留学支援の強化
・高等教育費の負担軽減
・労働市場改革の国民展開
また、上記Ⅱ・Ⅲ以外でも次のような内容が盛り込まれています。
●放送番組・音楽等の世界に通用するコンテンツの制作・流通
→ 放送番組の制作現場におけるハラスメント、いじめ、長時間労働等が行われないよう、テレビ局等は自主的に取組みを進める
●クリエイターが安心して持続的に働ける環境の整備
→ 適切な収益還元や健全な労働環境等を阻害する労働慣行や取引関係の是正に着手し、制作サイドに収益を還元するビジネスモデルを構築する
●確定給付企業年金(DB)の改革
→ DBの情報を他社と比較できる見える化(情報開示)を行うため、厚生労働省がこれらの情報を集約し公表する等の取組みを行うこととし、次期年金制度改正に併せて所要の措置を講じる
●企業型確定拠出年金(DC)の改革
→ 運営管理機関・事業主・加入者本人の各段階において運用の方法の適切な選択がなされるよう、継続投資教育、取組事例の横展開等の取組みを促進する等の方策を講じる
→ 事業主ごとの指定運用方法や運用商品の構成、運用状況等を含む情報を他社と比較できる見える化(情報開示)を行うため、厚生労働省がこれらの情報を集約し公表する等の取組みを行うこととし、次期年金制度改正に併せて所要の措置を講じる
●個人型確定拠出年金(iDeCo)の改革
→ 加入可能年齢の上限の引上げのみならず、資産形成の必要性に応じた拠出限度額の引上げ、制度のわかりやすさや加入者の手続きの簡素化等の利便性向上を追求する等、大胆な改革を検討し、結論を得る
≪ 雇用保険制度の令和6年改正内容に関する資料が公表されています | フリーランス新法のリーフレットが更新されています ≫