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私的年金制度の在り方等に関する議論の中間整理が示されました(2024/3/29)

3月28日、第33回社会保障審議会 企業年金・個人年金部会が開催され、私的年金制度の在り方等に関する議論の中間整理が示されました。

この中間整理は、「資産所得倍増プラン」(令和4年11月28日新しい資本主義実現会議決定)等を受け、次の3つの視点に基づき重ねてきた議論の整理を行ったものです。

視点1 国民の様々な働き方やライフコースの選択に対応し、公平かつ中立的に豊かな老後生活の実現を支援することができる私的年金制度の構築
視点2 私的年金制度導入・利用の阻害要因を除去し、より多くの国民が私的年金制度を活用することができる環境整備
視点3 制度の運営状況を検証・見直し、国民の資産形成を促進するための環境整備

出された意見の主な内容は、次のとおりです。

【視点1 国民の様々な働き方やライフコースの選択に対応し、公平かつ中立的に豊かな老後生活の実現を支援することができる私的年金制度の構築】
拠出・運用・給付一体での議論
 → 税制について、退職所得課税の強化検討とあわせて拠出限度額の引上げや特別法人税撤廃の議論も

iDeCo受給開始可能年齢の引上げ
 → 受給開始可能年齢(現在75歳)の引上げについては、iDeCoが老後の所得確保のための手段の一つであるとの性質も踏まえるとともに、現在でも高齢期における手続きが困難である現状や、さらに引き上げた場合の実務上の課題も勘案すべき

【視点2 私的年金制度導入・利用の阻害要因を除去し、より多くの国民が私的年金制度を活用することができる環境整備】
私的年金の普及拡大
 → 退職金・年金制度が整っている会社が良い会社だということが、転職サイトや新卒向けサイトなどで認知をされると、人手不足に対応する方策の一つとして前向きに取り組めるのではないか

簡易型DC制度
 → 見込んだ効果がないならば制度を廃止してはどうか

【視点3 制度の運営状況を検証・見直し、国民の資産形成を促進するための環境整備】
加入者のための見える化の充実
 → DB・DCともに退職時の手続や受給時に関する情報開示も充実させる必要があるのではないか
 → 企業年金は労使合意に基づいて決定された労働条件でもあり、人事・報酬戦略を含めたそれぞれの制度の前提や運営方針、状況も異なる中で、加入者にとって真に必要、有益な情報は何なのか、他社との比較を行う目的は何なのかを適切に整理した上で、開示の是非と要否を検討する必要があるのではないか

いわゆる選択制DB・DCについて
 → 給与ではなく事業主掛金として拠出することにより社会保険料の算定対象とならないため、将来の公的年金の給付額が下がる等の影響が生じること等について、従業員に向けた丁寧な説明が必要
 → 現状ではDCの法令解釈通知にのみ設けている従業員に向けた説明について、DBについても通知への記載をすべき
 → 本来従業員の福利厚生として導入されるべきものである企業年金制度が、過度に事業主の節税対策等として使われていることは問題ではないか

投資教育の充実
 → PDFファイルや動画コンテンツの掲載など、関心のある従業員しかアクセスしない方法で実施していることが多いが、有効とは言えないため、少なくとも10年に1回は事業主から積極的に従業員に継続投資教育の機会を提供することが必要
 → iDeCoの投資教育について、国民年金基金連合会や企業年金連合会の取組みに対する政府の支援強化に加えて、投資教育の方法がわからない企業や個人の相談に対応できる公的な個別窓口の設置、DCプランナーや社会保険労務士といった専門家の活用が有効ではないか

転職時等の自動移換
 → 自動移換者の総数が増加していることから、事業主による周知の徹底や管理手数料の引上げの対応を強化するほか、加入者の行動を分析し、投資教育や退職前の説明により加入者本人の理解を促進することも検討してはどうか