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雇用保険の適用拡大に関する見直しの方向性(案)が示されました(2023/11/24)

11月22日、第187回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会が開催され、雇用保険の適用拡大に関する見直しの方向性(案)が示されました。

次の5つが示されています。

週所定労働時間20時間未満の労働者について、雇用保険の適用を拡大し、雇用のセーフティネットを拡げることとしてはどうか。

適用拡大の範囲については、給付と負担のバランスのほか、申請手続等を含む事業主の負担や被保険者の増加に伴う制度運営コスト等も踏まえ検討してはどうか。
 ※ 仮に週所定労働時間10時間以上まで適用拡大した場合は最大約500万人が、15時間以上まで適用拡大した場合は最大約300万人が新規適用となると見込まれる。

新たに適用拡大により被保険者となる層の給付は、現行の被保険者と同様とし、適用要件を満たした場合、失業等給付(基本手当等、教育訓練給付等)、育児休業給付、雇用保険二事業の対象としてはどうか。週所定20時間以上の被保険者と給付対象を同様のものとする以上、保険料率等についても同水準として設定することとしてはどうか。

現状、週所定20時間の労働者を基準に設定されている①被保険者期間の算定基準、②失業認定基準、③賃金日額の下限額、最低賃金日額等については、適用拡大の範囲に対応したものとして見直すこととしてはどうか。

複数就業者に対する雇用保険の適用については、現在試行中の65歳以上の者を対象とした本人申請方式による任意加入制度が、令和4年1月から施行されており、施行後5年を目処にその効果等を検証することとされていることを踏まえ、引き続き、検討することとしてはどうか。

なお、同日の参考資料では、雇用保険未適用である短時間労働者(20時間未満)の実態として次のようなデータが示されています。

数の推移
 → ここ数年は横ばいで推移しているものの、2013年以降増加を続けており、雇用者総数に占める割合も増加傾向

週間就業時間階級別雇用者数
 → 2022年は718万人

男女別構成比(2022年平均)
 → 女性が7割超を占めており、男性は3割弱にとどまっている
   就業時間別にみると、週10時間以上の者が、女性はおよそ7割、男性はおよそ6割を占めている

年齢階級別
 → 65歳以上が最も多く、特に男性では34.3%を占めている
 → 女性も65歳以上の割合が最も高い(19.2%)が、40~64歳の各年齢階級で10%前後の割合となっている

産業別
 → 「卸売業,小売業」23.1%、「医療,福祉」16.5%、「宿泊業,飲食サービス業」15.3%

雇用形態別
 → 「パート・アルバイト」が約8割

短時間勤務の理由
 → 「自分の都合のよい時間(日)に働くことができるから」60.3%、「長時間働くことが体力的に厳しいから」23.7%、「就業調整ができるから」17.8%

就業調整の有無
 → 「行っている」31.3%、「行っていない」68.7%

就業調整を行っている理由
 → 「自分の所得税の非課税限度額を超えないようにするため」49.8%、「配偶者の税制上の配偶者控除又は配偶者特別控除が適用されるようにするため」36.0%、「配偶者の健康保険、厚生年金保険の被扶養者からはずれないようにするため」32.1%

雇用保険への加入希望の状況
 → 週間就業時間別のどの区分でも「加入したくない」のほうが多くなっているが、労働時間が長くなるにつれて加入希望も多くなる傾向
 → 加入したい理由はどの区分でも「失業給付を受けられるから」が最も多く、約7割
 → 加入したくない理由はどの区分でも「保険料の負担があるから」が最も多く、特に労働時間が長くなるにつれてその割合も高くなる傾向