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技能実習制度および特定技能制度の見直しに関する最終報告書のたたき台が示されました(2023/10/19)

10月18日、第12回技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議が開催され、技能実習制度および特定技能制度の見直しに関する最終報告書のたたき台が示されました。

次の9項目が示されています。

1 新制度および特定技能制度の位置付けと関係性等
・現行の技能実習制度を発展的に解消し、人材確保と人材育成を目的とする新たな制度を創設。
・基本的に3年の育成期間で、特定技能1号の水準の人材に育成。
・特定技能制度は、人手不足分野において即戦力となる外国人を受け入れるという現行制度の目的を維持しつつ、制度の適正化を図ったうえで引き続き存続させる。
・家族帯同については、現行制度と同様、新たな制度および特定技能制度(特定技能1号に限る)においては認めない。

2 新制度の受入れ対象分野や人材育成機能の在り方
・受入れ対象分野は、特定技能制度における「特定産業分野」の設定分野に限定。 
・従事できる業務の範囲は、特定技能の業務区分と同一とし、「主たる技能」を定めて育成・評価(技能検定、特定技能評価試験等)。
・試験不合格となった者には再受験のための最長1年の在留継続を認める。

3 受入れ見込数の設定等の在り方
・特定技能制度の考え方と同様、新制度でも受入れ分野ごとに受入れ見込数を設定(受入れの上限数として運用)。
・受入れ見込数や対象分野は経済情勢等の変化に応じて柔軟に変更、有識者等で構成する会議体の意見を踏まえ政府が判断。

4 新制度での転籍の在り方
・「やむを得ない場合」の転籍の範囲を拡大・明確化し、手続きを柔軟化。
・これに加え、以下を条件に本人の意向による転籍も認める。
 → 人材育成等の観点から、一定要件(同一企業での就労が1年超/技能検定基礎級合格、日本語能力A1相当以上のレベル(日本語能力試験N5合格など))を設け、同一分野内に限る。
 → 本人の意向により転籍を行う場合、転籍前の受入れ企業等が負担した初期費用のうち、転籍後の受入れ企業等にも負担させるべき費用については、両者の不平等が生じないよう、転籍前後における各受入れ企業等が外国人の在籍期間に応じてそれぞれ分担することとするなど、その対象や負担割合を明確にしたうえで、転籍後の受入れ企業等にも負担させるなどの措置をとることとする。
・監理団体・ハローワーク・技能実習機構等による転籍支援を実施。
・育成終了前に帰国した者につき、新制度による再度の入国を認める。
 → それまでの新制度による滞在が2年までの者に限る。
 → 前回育成時と異なる分野を選択可能。

5 監理・支援・保護の在り方
・外国人技能実習機構
 → 労働基準監督署との間での相互通報の取組みを強化し、重大な労働法令違反事案に対して厳格に対応する。
・受入れ企業等
 → 外国人の前職要件等、現行の技能実習制度の国際貢献目的に由来する要件をなくす方向で見直したうえ、現行の特定技能制度における要件も参照し、受入れ企業等としての適正性および育成・支援体制等に係る要件を設ける。
 → より良い受入れのインセンティブとなるよう、優良事例の公表、優良な受入れ企業等に対する各種申請書類の簡素化や届出の頻度軽減などといった優遇措置を講じる。

6 特定技能制度の適正化方策
・新制度から特定技能1号への移行は、以下を条件。
 ① 技能検定3級等または特定技能1号評価試験合格
 ② 日本語能力A2相当以上のレベル(日本語能力試験N4合格など)
  ※当分の間は相当講習受講も可
・登録支援機関の登録要件や支援業務委託の要件を厳格化。

7 国・自治体の役割
・入管、機構、労基署等が連携し、不適正な受入れ・雇用を排除。
・送出国と連携し、不適正な送出機関を排除。
・業所管省庁と業界団体の連携による受入れ環境整備のための取組み。
・日本語教育機関を適正化し、日本語学習の質を向上。
・自治体において、生活相談等を受ける相談窓口の整備を推進。

8 送出機関および送出しの在り方
・二国間取決め(MOC)により送出機関の取締りを強化。
・手数料等の透明性を高め、送出国間の競争を促進。
・受入れ企業が一定の来日前手数料を負担するなどの仕組みを導入。

9 日本語能力の向上方策
・継続的な学習による段階的な日本語能力向上。
 ※就労開始前にA1相当以上のレベル(N5合格など)または相当講習受講
  特定技能1号移行時にA2相当以上のレベル(N4合格など) ※当分の間は相当講習受講も可
  特定技能2号移行時にB1相当以上のレベル(N3合格など)
・日本語教育機関認定法の仕組みを活用し、教育の質の向上を図る。


報道によれば、今後は、同会議の最終報告を踏まえ、政府の外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議での議論を経て、来年の通常国会に改正法案を提出予定とされています。