「新しい資本主義の推進についての重点事項」が示されました(2023/9/29)
9月27日、第22回新しい資本主義実現会議が開催され、「新しい資本主義の推進についての重点事項」が示されました。
コストカット型の冷温経済を適温の成長型経済へと3年間程度の「変革期間」で転換させるための経済対策の立案と、「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画 2023改訂版」(令和5年6月16日閣議決定)で決定した施策事項の早期かつ着実な実施が掲げられています。
経済対策については次の5つを中心に立案するとされています。
1 足元の急激な物価高から国民生活を守るための対策
2 地方・中堅中小企業等を含めた持続的賃上げ、所得向上の実現
3 成長力の強化・高度化に資する国内投資促進
4 人口減少を乗り越え、変化を力にする社会変革の起動・推進
5 地方の成長を図る国土強靭化など国民の安全・安心の確保
このうち、上記2に関する主な内容は、次のとおりです。
【地方・中堅中小企業等を含めた持続的賃上げ、所得向上の実現】
●中小企業等についての賃上げ税制について、繰越控除・措置の期限の在り方等減税措置の強化を検討する
●「年収の壁」を乗り越えるための支援を新たな最低賃金が動き出す来月から実施するとともに、正しい制度理解、認識の周知を図る
●中小・小規模企業の賃金引上げおよび人手不足解消のため、省人化(人手不足解消)・省力化(高いエネルギーコストの節約)投資への簡易で、即効性がある支援措置を実施する
●最低賃金の継続的な引上げのため、事業再構築や業務改善等の中小・小規模企業向けの支援措置を充実する
●内閣官房および公正取引委員会は、労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針を年内に策定する
具体的には、
・労務費について取引価格に転嫁する取組方針を、発注者側は経営トップまで上げて決定し、その取組状況を定期的に経営トップに報告すること
・定期的に労務費の転嫁について受注者側との協議の場を設けること
・受注者側が準備する根拠資料は、負担にならないよう、当該地域の最低賃金の上昇率、春闘の妥結額の平均上昇率など公表資料を可能な限り用いること
等により、取引適正化に向けた取組みを強化する
●同一労働・同一賃金制について、労働基準監督署による調査結果を踏まえ、基本給・賞与の差の根拠の説明が不十分な企業などについて、文書で指導を行い、経営者に対応を求めるなど、その施行を徹底する
●職務給の導入のため、ジョブの整理・括り方、人材の配置・育成・評価方法、ポスティング制度、リ・スキリングの方法、従業員のパフォーマンス改善計画(PIP)、賃金制度、労働条件変更と現行法制・判例との関係、休暇制度等について事例を整理し、年内または年度内に取りまとめる。この際、企業の実態に合った改革が行えるよう、自由度を持ったものとするとともに、中小・小規模企業等の導入事例も紹介する
●職種別・エリア別に、賃金相場の前年との比較、求人数等について官民の求職・求人情報の共有化を本年度内に実施。処遇のよい職に助言できるよう、キャリアコンサルタント等へ情報共有を図るとともに、更にその充実を図る
●非正規雇用労働者の正規化を加速化するため、有期雇用労働者等を正社員化する場合の支援措置を強化するとともに、対象となる有期雇用労働者の雇用期間の制限を緩和する
●在職中の非正規雇用労働者のリ・スキリング支援を創設する
●教育訓練給付の拡充策等について、年末までに結論を得る
≪ 「健康保険(船員保険)・厚生年金保険被保険者資格取得届」等に個人番号を必ず記載することとされました | 「年収の壁・支援強化パッケージ」の内容が明らかになりました ≫