お知らせ

資金移動業者口座への賃金支払いに関する同意書の様式例が示されています(2022/12/1)

11月28日、厚生労働省は、「労働基準法施行規則の一部を改正する省令の公布について」(令和4年11月28日基発第1128第3号)、「賃金の口座振込み等について」(令和4年11月28日基発第1128第4号)を発出しました。

いずれも、資金移動業者口座への賃金支払いを可能とする労働基準法施行規則の改正に伴う通達です。

「労働基準法施行規則の一部を改正する省令の公布について」(令和4年11月28日基発第1128第3号)においては、資金移動業者口座への賃金支払いを行う場合に必要となる労働者の同意を得るにあたって、説明すべき事項等が示されています。

具体的には、次の内容を説明することとされています。

・資金移動業者は、預金もしくは貯金または定期積金等を受け入れていないこと。

・資金決済法等における滞留規制を踏まえ、指定資金移動業者口座への資金移動を希望する賃金の範囲およびその金額(希望額等)は、各労働者において、その利用実績や利用見込みを踏まえ、為替取引に用いられる範囲内に設定する必要があること。

・希望額等の設定にあたっては、指定資金移動業者が設定している口座残高上限額(100 万円以下)および指定資金移動業者が1日当たりの払出上限額を設定している場合には当該額以下に設定する必要があること。

・指定資金移動業者の破綻時には、指定資金移動業者と保証委託契約等を結んだ保証機関により、労働者と保証機関との保証契約等に基づき、労働者に口座残高の弁済が行われること。

・労働者の意思に反して権限を有しない者の指図が行われる等により不正に出金等された際に、労働者に過失がない場合には損失額全額が補償されること。

・不正出勤等された際に、労働者に過失がある場合には個別対応を妨げるものではないが、損失を一律に補償しないといった取扱いとはされないこと。なお、労働者の親族等による払出しの場合、労働者が虚偽の説明を行った場合等においては、この限りではないこと。

・不正出勤等による損失発生日から一定の期間内に労働者から指定資金移動業者に通知することを補償の要件としている場合には、当該期間は少なくとも損失発生日から30日以上は確保されていること。

・払出(現金化)の手段については、各指定資金移動業者により異なるものの、現金自動支払機(CD)または現金自動預払機(ATM)の利用や預貯金口座への出金等の通貨による受取りが可能となる手段を通じて、少なくとも毎月1回は労働者に手数料負担が生じることなく指定資金移動業者口座から払出しができること。

・口座残高については、口座に係る資金移動が最後にあった日から少なくとも 10年間は債務が履行できるようにされていること。

なお、労働者への説明については、使用者から指定資金移動業者に委託することも認められるものの、労働者の同意については、使用者が得る必要があるとされています。


また、「賃金の口座振込み等について」(令和4年11月28日基発第1128第4号)においては、次の内容等とともに、労働者への説明を行う場合に用いる同意書の様式例も示されています。

労働者の同意書に記載すべき事項
 ・口座振込み等を希望する賃金の範囲およびその金額
 ・労働者が指定する金融機関店舗名ならびに預金または貯金の種類および口座番号、労働者が指定する証券会社店舗名および証券総合口座の口座番号、または労働者が指定する指定資金移動業者名、資金移動サービスの名称、指定資金移動業者口座の口座番号(アカウントID)および名義人(その他、指定資金移動業者口座を特定するために必要な情報があればその事項(例:労働者の電話番号等))
 ・開始希望時期
 ・代替口座として指定する金融機関店舗名、預金もしくは貯金の種類および口座番号または代替口座として指定する証券会社店舗名および証券総合口座の口座番号

労使協定に記載すべき事項
 ・口座振込み等の対象となる労働者の範囲
 ・口座振込み等の対象となる賃金の範囲およびその金額
 ・取扱金融機関、取扱証券会社および取扱指定資金移動業者の範囲
 ・口座振込み等の実施開始時期

給与明細に記載すべき事項
 ・基本給、手当その他賃金の種類ごとにその金額
 ・源泉徴収税額、労働者が負担すべき社会保険料額等賃金から控除した金額がある場合には、事項ごとにその金額
 ・口座振込み等を行った金額